フツーの子がスターに成り得るリアルおすすめ度
★★★★★
やっぱ、名作といわれるものには何かあるよね。中年になって、はじめて「エースをねらえ!」読んだ率直な感想。宗方の「特訓のつらさから魔球だのなんだのありえない技にあこがれないこと」って言葉は、「巨人の星」や「サインはV」の60年代との違いを端的に示している。ビンボーだったり肉体的ハンデだったりを克服するマジックとしての魔球が70年代には必要なくなってくる。「エースをねらえ!」は一億総中流時代のスポ根、本人に全くその自覚がない、フツーの家庭のフツーの子がスターに成り得るリアルが共感を呼ぶ。70年代ってのは、ヒーローもウルトラマンから仮面ライダーっていう等身大の時代だったし、それこそスタ誕、山口百恵、PLの時代だった訳で。
それと、一見、恋愛のスパイスで男と女の物語のように見せて、その実は、先輩後輩であり、ライバルであり、ダブルスではパートナーであり、恋敵であり...っていう、岡ひろみとお蝶夫人だったり、宗方と桂だったり、っていう女と女、男と男の物語、あるいは女が男を越えていく女対男の物語だったりするんだよな。あとは育てられたものが、今度は育てる側に回るっていう人と人の縁、つながり、絆の物語。
「いいか勝敗をわけるのはいつでもたった1球だ だがプレイしているときはどれがその1球かわからない」とか、名文句も多し。あと、当時の日本のスポーツ状況、テニス界の史料的価値って点でも評価できる。水分補給せずに塩粒齧ったり、うさぎ跳びしたりなんていうスポーツ科学前史だったり、一方でパワーテニスの萌芽だったり、ボルグ、エバートって新星の登場だったり。クリスマスっていえばイブじゃなくて25日がメインだったり、500円札や魚鳥木、「お代はロハ」なんて風俗、言葉も懐かしいなぁ。
これは、忘れた頃にまた読んでも絶対楽しめる作品ですね。
宗方コーチ、しびれるぜ!おすすめ度
★★★★★
ドラマは観なかったけど、
この原作マンガは超名作。
ド素人のテニス部員、岡ひろみが、
宗方コーチによって、その秘められた才能を見いだされ、
プロテニスの道を進んでいくという、
いかにも少女漫画らしい、あり得ないシンデレラ・ストーリー。
テニスの試合展開は意外と地味だし、
(この点、テニプリとは大いに異なる)
ヒロインを取り囲む藤堂・尾崎・千葉といった男どもは、少女漫画だけに、顔良し・頭良し・スポーツ良し・性格良しと四拍子揃っていて、すごくいけすかない。
しかし、しかしである。
宗方コーチと岡の師弟愛はマジで泣けるのよ。
少女漫画なのに、あえて恋愛関係にしない所がいい。惚れた腫れたとか、そういうレベルを超越した究極の信頼関係が、ここにはある。
宗方コーチは感情を表に出さないクールなお人なのだが、宗方コーチが隠してきた熱い魂と優しい心が明らかになってくる物語後半は、涙の乾く暇もない感動シーンの連続である。
宗方コーチはまさに男の鑑。
あの不器用さがたまりませんよ。
というわけで、男も読むべし。
文句なしの、一級作品。人生への指針となるべき作品。おすすめ度
★★★★★
現在、妻であり、母であり、社会人として忙しい日常を送るごく普通の45歳の女性ですが、心に残るというより、刻まれた教えは、この「エースをねらえ」と言って過言ではありません。限界を作らず、前向きな考えで、生きていく。人と出会い、別れはあるけれど、途切れることなく、人の思いは、人を介して永遠に続いていく。人生の指針、哲学というべき方向性を得られる作品です。この作品を生んだ偉大な山本先生の他の作品も、素晴らしい作品ぞろいで、是非一読されることをお勧めします。
個性的なキャラクターのことごとくが真面目で義理堅く人格者。
おすすめ度 ★★★★★
作中でも「高校生なのにたいした人だ」と評されているくらい、お蝶婦人は聡明だ。
宗方コーチは、愛する女の成長を妨げるなという教えを説くし、藤堂さんはそれを守る。
桂コーチも・・・、(これ以上書くとねたばれするので、よす)
スポーツ漫画としても、おもしろいが、後半は精神的な話がたくさん出てくるので、読むとためになる。