愛智者のあり方についておすすめ度
★★★★★
ソクラテスの思想、生き方をきわめて感動的に描きだしている作品です。
弁明、クリトン、パイドンともソクラテスの裁判から刑死までの流れの場面でソクラテスが語ったこと、問答が中心となっています。
いかに良く生きるかを追求したソクラテスならではの言葉をプラトンが浮かび上がらせます。
しかしながら、プラトンの著作は簡潔で読みやすいものでありながらも、実際にその真意を知るのはかなりの困難が伴うものであると思います。
表面的に読み飛ばしてしまうようなところにも、深い含意が仕組んであるように思います、まずは翻訳でいいので、その著作を繰り返す読むことが必要だろうと思います。
ソクラテスを知る
おすすめ度 ★★★★★
『ソークラテースの弁明』、『クリトーン』、『パイドーン』・・・・・・この三つの作品を一冊の書にまとめたことは、大変意義深い。なぜなら、私たちはこれら三つの作品を通じてソクラテスという古の賢者の思想・生き方・その人となりを深く感じることができるからである。彼は『弁明』において「怪しげな神を信じ、青年たちを腐敗・堕落させている」という自分の罪状が無実であることを法廷の人々に弁明し、『クリトーン』では判決後、逃げずに甘んじて刑に服する理由を語り、『パイドーン』でなぜ哲学することが大切なのか、を説く。読者は三作品を続けて読むことによって、あたかも自分が弟子の一人としてソクラテスを目前にするような錯覚を覚え、彼の揺るぎなく純粋な生き方に感動するだろう。
『弁明』と『クリトーン』はソクラテス自身の思想が全面に出たプラトン初期の作品であるのに対し、『パイドーン』はプラトン自身の思想が芽を出しつつある中期の作品であることに注意は必要だが、ソクラテスを知る上で絶対に欠かすこのできない一冊である。