私はサイボーグ009のお話には詳しくないのですが、2012年のことに関心があって、この本も友だちに勧められて拝見しました。苦しい病床で石ノ森先生の前に現れた漫画の登場人物の博士が未来からメッセージを伝えに来たことがきっかけで書き始めたそうですが、今から30年位前に中断した石ノ森先生の009のお話のほうもまず知っておきたいと思って漫画を拝見したら、今の精神世界で盛んに言われているようなことが、30年も昔の段階で先生が詳しく書かれていて、先生の研究熱心さと、先見の明に驚くとともに、先生が未来の地球や平和について真剣に考えていらっしゃったことを深く感じて、先生から見れば未来の世代である私たちへの愛情溢れるメッセージでもあるように感じました。
この2012年の本は、小説ですので、漫画はないのですが、多くの読者の方々とは反対の順番になってしまうと思いますが、この小説を読んで、石ノ森先生の009の漫画をもっと読んでみたくなりましたので、さっそく注文したところです。
先生の命のともし火 おすすめ度
★★★★★
2008年3月に放送されたNHKBSの大型特番、ご覧になりましたでしょうか。第六夜でとりあげられた「2012 009 conclusion GOD’S WAR―サイボーグ009完結編〈1(first)」出版への過程。うすらぼんやりしていたファンとして目からうろこのエピソードが紹介されていました。この小説版は小野寺丈にとっても、小野寺章にとっても父そのものであるとても大きな山であるようです。それはエベレスト登山みたいなものも知れないからです。
島本和彦先生が解説してくれましたが、そもそもコムでなぜ「天使篇」が中途で終わったのか?
これは、「人気がなかったから」という現実がまず「あの時代」での「現実」だったそうです。
島本氏は言います「漫画というのは、だからファンが応援してくれないといけないんですよ」と。ただ前後の文脈には誤解がないように補足しますと、「あの時代」なぜ人気がでなかったか?
それはあまりに「先」を見通した展開過ぎたからといいます。30年後の現代ならば現実に起こっている
混乱と矛盾。鋭すぎる感覚がファンを置いてきぼりにしてしまったから一度、冷却期間を置こうという
ことに結びついたようなのです。
病院でも書き綴った完結篇の構想ノートは25冊の大学ノートに及ぶそうです。001から009までの各章ごとに見えざる「敵」との戦い。キーワードだけの殴り書きや、002の章のように小説として完成させたもの、構想ノートの端には「手が痺れてうまく書けない」という石ノ森先生の闘病の記述なども紹介されていました。なんとしても009の完結篇だけは形にして置きたいと息子2人にそれを託した先生の
心持を思うと小野寺丈が父の名前を借りて書いたというような、浅薄な小説ではないとてうことが今度の番組で伝わってきました。小野寺丈氏には小説で、小野寺章氏には映像化を託し永眠された先生。
島本先生も言っていますが小野寺丈さんにだからといって気負うべからず、009としてエンターティメントとして作るべきで呈示された作品が世界の根幹をひっくり返すような聖典ではないのだから
サイボーグ009として違うとかいやとかではなく、みなさんそれぞれに抱いている天子篇の結末をどきどきしながら待ちましょう。そして来るべきアニメ第四シリーズにも期待しましょうね。なんせ紺野直之さんというすばらしいアニメーターが今はいらっしゃる。アニメの技術も格段に進歩しています。
そして、サイボーグ戦士誰がために戦う?
1997年、石ノ森先生がご存命中に「石ノ森萬画館」というムックをメディア・ファクトリーから出版しています。現在でも入手可能です。そちらもご覧下さい。
(あらゆる意味で)やっと・・・おすすめ度
★★★★☆
原作が中断して30年以上半ば諦めていましたが・・・。
そして小説版として発表するとしてから5年以上。
これまでもそうですが、完結までにはまだまだ長い道のりだと思います・・・結局
完結しないと今までと状況は変わらない。
無様な最後でも完結させて欲しいです。
表紙は石森章太郎氏のイラストをそのまま使ったほうが良い気がします。
30年以上待っていました。
おすすめ度 ★★★★★
かつて月刊COMに連載された『神々との闘い』は、読者に不評で休載に追い込まれてしまったが、本当はこのときに完結させておくべきだったと思う。当時、著者に非難の便りを送ったファン諸氏に、「ここで完結させなかったら、著者は完結できないまま世を去ってしまうのだぞ。それでもいいのか?!」と迫ったなら、誰もが連載継続を望んだはずだ。その意味で、石森章太郎という作家を信じて、付き合い続けることができなかった読者諸氏の罪は重い。
人気作である『サイボーグ009』が、読者の反発により連載を続けられなくなってしまったのだから、当の『神々との闘い』を長らく単行本に収録しなかったのも当然。著者は、「早く完結編を書け」という読者の声と、書いたのに読者に反発されてしまったという事実の間で、死ぬまで悩んだに違いない。
その遺志が、ご子息の手で形になりつつあるわけだが、これほどプレッシャーの大きな作業もないだろう。
何はともあれ、2012年までには完結させてもらいたいと切に祈る。
とりあえず、出版されたという事実に対して星5つ。