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サイボーグ009 第2章 地上より永遠に 4

川越淳
おすすめ度:★★★★★
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星祭の夜編はTV版オリジナリティ抜群の傑作、黒い幽霊団編もファン必見物
おすすめ度 ★★★★★

1話完結編が2作、中篇(4話完結)の序章1話が含まれています。
星祭の夜編では、七夕の日に009が地方に一人旅に出る。何かに誘われるようにして降りた駅を出たところで、彼は見知らぬ少女に出会う。009は記憶にないが、少女はなぜか009のことを知っていた。少女は一体何者なのか。少女に誘われるままに付いて行く009。そしていつしか日は暮れ、009は少女とともに満天の星空を見上げる。そこで009が見たものは...母親の記憶がない009の心の傷を、タイム・トラベルというSFの要素と一昔前の七夕祭りの夜の情景でふんわりと包んだ、平成TV版009の中でも最も秀逸な"ファンタジー"。その映像には思わず胸が熱くなります。原作とはまた一味違った味付けで、原作ファンの期待を裏切らない内容です。→星五つ。
黒い幽霊団(ブラックゴースト:BG)編は、原作にはないお話。ギルモア博士の若き頃(設定は旧ソ連でしょうか)から、BGへ足を踏み入れたきっかけ、001から004までのテストサイボーグの開発の過程、そしてBGを脱出する(平成TV版バトルアライブ編第1話)までが描かれます。ギルモア博士の、倫理を踏み越えてしまった生体学者としての心の暗部がよく描かれていて、原作ファンも十分に楽しめます。→星五つ。
最後は、サイコキネシス、テレポーテーション等の超能力を持つ"ミュータント"4人が009達を抹殺しようとする4話完結編のうちの序章第1話。強力な超能力の前になすすべもない009達。しかし、彼等にも唯一といえる弱点があった。そして、かれら超能力者を背後で操っているのは...キャラクターは原作から持ってきていますが、背負わせている役割は原作とは全く違うTV版オリジナル。見所は001と、彼の実の父親でBGにおける超能力研究の第一人者であるガモ・ウィスキー博士との対決です。原作では、この2人の関係は最初にちょっと描かれるだけで、その後ガモ氏がどうなったのかは描かれてませんが、このTV版では001とガモ氏のその後を取り上げて、このTV版009シリーズ全体の「構成」をより堅牢で深みのあるものにしてくれています。アクションも、超能力の描き方等がとても丁寧で好感が持てます。→星五つ。
以上総合して星五つとしたいと思います。



原作を踏まえつつ、オリジナルになっている平成版
おすすめ度 ★★★★☆

原作ものを映像化する時に、もともとの原作をどう料理するのかというのが問題になるのだろうし、そうした問題意識のない作品は結局面白くないのだと思う。
原作に忠実にということを謳い文句にしていた平成版009だけれども、時代の流れは致し方なく、どうしてもベトナム編は作れなかった(時代背景さえきちんと押さえておけば、別にあってもいい話だと思うけれど)ように、ここへきて原作に忠実にはできないものが並ぶようになってきたようだ。それはまた、映像化を試みたスタッフのエゴが抑えきれなくなったということなのかもしれないし。
この4巻に収録されている3つの話は、いずれも原作を下敷きにしていながら、平成版のオリジナリティを出そうとしている話ばかりだ。
「星祭りの夜」は、原作よりも映像としてみた時に石ノ森章太郎のナイーブな面を表現している。「黒い幽霊団」は、平成版の基本設定をおさらいしている感じで、この後に続く物語の終末へ向けて実は大事な1話だと思う。そして「新たなる刺客」は、キャラクターだけ原作から持ってきてオリジナルのストーリーになっている。これが、いけてそうだ。



押さえておきたい話
おすすめ度 ★★★★☆

第38話は平成版009を知る上で必見です!ブラックゴーストとはどのような存在なのかを、ギルモア博士の回想と共に追うことで”平成版009”としての設定も見えてきます。(この辺りの設定は、原作の発表された当時と現代とのギャップを埋める上で、上手くまとめているなと思います。)限定版DVD1巻~9巻についていたフィギュアと同じ戦闘服が出てきたり、この話を見るとまた第1話を見なおしたくなったりと、平成版009のエッセンスがつまった話ですので、ぜひどうぞ。

原作とは赴きが異なっていますが、第37話「星祭りの夜」も何とも不思議なお話でオススメです。


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