天性の作家・井上光晴 おすすめ度 ★★★★☆
幼少の頃から「嘘つきミッちゃん」と呼ばれた井上光晴氏は、ご自分の経歴を偽り、家族も知らなかったそうです。長女の荒野さん(本名)の名前も、人と変わった劇的な一生を送るようにとの願いから「嵐が丘moor・あれの」と名づけられました。荒野さんによると、経歴詐称や数々の嘘も、何事もドラマチックな展開や結末を図る天性の作家であるサガによるものとかばっていらっしゃいます。お母様も毎日3度、居酒屋のような食事を誂え、食事中にあれが食べたいと他の物を所望すると、それに答えるという献身ぶり。瀬戸内寂聴氏ご本人が、出家の原因は井上氏であると語っているように、女性関係も多々あったご様子ですが、家族が献身せずにいられない井上氏の魅力的な側面が伺えます。
|