野球漫画と呼ばれる作品のなかでも一見地味だが、実は異色の名作である。美少女との恋愛もなければ、悪球打ちや魔球もなく、プロ野球選手だった父親もいない。監督もマネージャーもいないどこにでもある中学校の野球部員達とキャプテンが、ひたすら努力を続けていくという話である。必ずしもリアリズムに基づく作品ではないにも関わらず、その努力の描写からは他の作品には無い何とも言えないリアリティを感じさせられる。
漫画「詩」の傑作。おすすめ度
★★★★★
青春時代、別に野球じゃなくとも、何かに全力投球したことがありますか?と尋ねてくれる漫画、それがこの『キャプテン』ではないだろうか。僕には絵の構成等詳しいことはわからないが、現代の漫画の主流から見ると結構雑なイメージがあるが、それでも当時としては実に繊細に描かれてる。
下町、よくある野球部の光景…。当時、野球漫画はよくあった。思い浮かべると代表的な『巨人の星』『ドカベン』等。十分に楽しませていただいた。しかし、なぜかこの隠れた名作『キャプテン』が印象に残る。僕は漫画本を一切始末し、今は全く読んでいない。しかし、なぜか、このキャプテンは全巻自分の本棚にあるのだ。なぜだろう。とにかく、いろんな漫画を読んできたつもりだが、残った作品がこのキャプテンしかないのだ。
僕はこの漫画にある種「詩」を感じる。当時、多くの漫画が娯楽として栄えていたが、それから逸脱した存在がこの『キャプテン』ではなかったかと思える。青年たちを描きながらも、今の歳になっても十分楽しめるのは、あの頃の爽やかさがこの漫画に存在しているからだと思う。今後、また、新たに漫画を増やそうと思っているので全くの結論は出ないし、多種多様化し、その形態もかなり異なってきているが、この漫画だけは生き残った、と唯一記したい。
それは、多分、原作者のちばあきお氏と登場する谷口キャプテンに惚れたからだろう。谷口くん…。嫌いな人、少ないんじゃないかなぁ。
第一巻は、そんな谷口くんの波乱の野球人生の始まりが描かれている。大人しくて、ナイーブで、でも、一番の情熱家。あの小生意気なイガラシすら尊敬する男。谷口キャプテン…、につきる1作目です。
キャプテン(1)の感想
おすすめ度 ★★★☆☆
子供の頃に見た感動は消えました。