パラディソ
これは今聴いても、相当変わってますね。書上奈朋子という方の才気は、常人の求める感じとは別の次元でどんどん突き進んでいる感じです。クラシックやブラジルものなどのメロディを使いながら、やっていることはかなりエレクトロな打ち込みだし、日本のグループとしては最近では考えられないほどに斬新だと思います。ここんとこの日本のエレクトロニカは美しいものを描こうとしているのがほとんどなのに対して、彼女の描く世界はどこまでもイビツでエキセントリックです。それはもうジャケットやインナーの写真を見ても一目瞭然で、狙っているところが今のエレクトロニカシーンとは根本的に違います。百歩譲って神秘的なのは共通点だとしても、こっちの神秘にはオカルトが含まれているような妖しさ満載です。そしてそこがいい。他にはないというのは、やはり評価すべきだし、聴いているとこの世界にどんどん引き込まれます。ミュージシャンとしての力量も相当なもんで、こんな風にやりたいというのではなく、これをやるんだという強い意志がはっきりと伝わってきます。
ベスト
音楽には流行り廃りがあって、世代の枠に囚われてしまうと
どんなに自分が良いと思っていても、他人にはなかなか伝わらないものです。
しかし、このユニットの音楽は違います。
耳に心地よく、飽きる事が無いこのCDは
何回でも聴きたくなる珠玉の一枚だと思います。
一日中リピートしていても、誰も「CD変えて」とは言いません。
この手のジャンル自体が嫌いだと思う人以外は、
是非一度聴いてみる事をお勧めします。
ジ・エキセントリック・オペラ
Enigma, Delerium系の海外のサイトをブラウズしていて最近知りました。「ヨロコビ(5th)」のジャケットに日本語が書いてあるから、ちょっと興味をひかれて調べてみたら・・・ばりばり日本人の女性二人組(ソプラノ相良奈美とプログラミング書上奈朋子)だったんですね。ジャンルとしてはテクノに一番近いのでしょうが、クラシックを元ネタにしているのでクラシックファンでもある私には親しみやすく感じられました。トラック・リストを見れば分かると思いますが、声楽・オペラの大変ポピュラーな曲ばかりです。
そのあと芋づる式に昔のエキセントリックの曲も掘り起こして聴いてみました。「イムヌ」というアルバムが一番好きなのですが、このごく初期のグル-プ名をアルバム名にした作品も、荒削りではありますが、「新らしい音楽を作るんだ」という興奮が感じられて独特の魅力があります。