吸血鬼ノスフェラトゥ 新訳版 [DVD]
1922年のドイツ無声映画。監督はムルナウ。
何とも言えず面白いです。古典の面白さ、映像の面白さ、怖さのゾクゾク感。でも、とにかく、なんか、おかしさ、を持っています!
古典的素晴らしさは、たぶんムルナウという人が、とても丁寧に、また、映像のなんとも鮮やかな才能の持ち主なので、なんか、はっとするような画面作りがいっぱいだからだと思います。
うつくしい白黒の写真を見ているような、詩的な美しさ、です。
また、ストーリーも一幕ごとにちゃんと進んでいき、いい加減に進んだりしません。ストーリーとしての礼儀が尽くされているのです。
また、吸血鬼のノスフェラトゥの役者さんが・・・ものすごく痩せていて頭でっかちで剥げているのですが・・・その頭によく見ると額のあたり、血管がもりあがっていたりします!
あれは、坊主頭のズラなんでしょうか。もし本物の頭なら・・・本当に!!!不気味だ!!!頭でっかちすぎる!!!
そして、主人公の男性が、伯爵の正体をなんだか不気味に感じて、腰が抜けそうになったりするんですが・・・その様子が、怖いんだけど・・・でも、おかしいんです!!!
腰を抜かしたまま、階段をずり上がって画面からいなくなるしぐさとか・・・もう、怖いもの見てるのに、おなか抱えて笑っちゃたりするようなんです!!!
これって、かの、ロマン・ポランスキーが、真の映画ファンはたいてい吸血鬼映画から映画ファンになる。しかも、怖いはずの吸血鬼映画を見て、彼らは大笑いする、と言っている事態とおなじではないでしょうか!!!ポランスキーの言っていたことを、私はこの映画をみて、体験してしまいました!
しかも、主人公がいろいろ動き回るのが、ポランスキーの映画、吸血鬼の時の、彼の動きと、衣装も、髪形もマッタクそっくりで、ああ、彼はこのノスフェラトゥも見ただろうなー、とすぐ分かります。
伯爵が棺(泥が入っている?)をもって、あちこち歩き回るのも、なんかものすごく詩的で、怖くて、それでいて、なんかおかしみがあります。
何とも言えない、これは、傑作であり、吸血鬼というジャンルは人間のいろーんな要素を見せるものだなー、と教えられます。
吸血鬼ノスフェラトゥ 《IVC BEST SELECTION》 [DVD]
吸血鬼映画として超個性的なインパクトが強い。
吸血鬼の造型が奇怪で不気味で凄まじい。
吸血鬼の役者の怪演振りが半端じゃなくオゾマシイ。
吸血鬼物としてこれを上回るゴシック・ホラーは未だに出ていない。
「魔人ドラキュラ」(30)、「吸血鬼ドラキュラ」(57)も傑作ですが、個人的にはやはり本作の魅力には勝てない。兎に角 恐怖感、緊迫感、ゲテ物感、気色悪さ、そして滑稽な妖しい雰囲気感さえ(特に棺桶を抱えてうろつく姿が最高!)醸し出す演出効果が圧巻で他を寄せ付けないのだ。
リメイク版「ノスフェラトゥ」(78)も頑張っている(キンスキーとアジャーニの好演、秀作。)が本作には届かない。
吸血鬼ノスフェラトゥ [DVD]
F.W,Murnauはワイマール公国(現ドイツ.オーストリア)の最高のインプレッショニストとして名高い、そしてこのNOSFERATUはそのなかでも傑作とされている。こう言うと身構える人がいるかもしれない、映画好きのための映画と思うかもしれない、現実はまったく違う、始めて見る映画がコレでも、映画の深遠さを覗いて見るには格好の入門であるし、玄人としてはこれを逃して映画通を語っていたらちゃんちゃらおかしい。
そしてこの映画は85年も前に作られた映画なのであるが、その音楽の素晴らしさ!当時の映画音楽の巨匠たちが、一曲ずつ担当しているので、現代音楽、バロック、オルタナティブ、ヘヴィクラシックなど音楽を聴いているだけでもまったく飽きることが無い。ミュージシャンはそこに198、90年代に初めて登場したと認識していた電子音楽の源流を見ることができるだろう。
MURNAUはこの映画で新しく、フィルム全体に色を塗りつけて撮る手法に挑戦しているのでこれは厳密な意味では白黒映画ではない。白黒映画にもカラー映画にもない新鮮な感覚が味わえる。(この手法が成功した唯一の映画でもある)
NOSFERATUとはドイツ語でネズミの意であり、原文で確認すればよくわかるが、ネズミとはもちろん中世ではプラグ(黒死病)の媒介者であり、ドラキュラは黒死病の具現化像なのである。そのためドラキュラ事体も通常私たちが考える犬歯で血をすうものではなく、鋭く尖った前歯で血を吸うものとなっている(当時の規制によって過度の流血は映画には登場しないので、ホラーが苦手な人でも安心して、芸術映画として見れる)とにかく映画に興味があるなら必ず見て欲しい、損はさせない。
ちなみに映画のなかに宮沢賢治の詩が使われているのも日本人としては嬉しい。
吸血鬼ノスフェラートゥ 恐怖の交響曲 (F.W.ムルナウ コレクション/クリティカル・エディション) [DVD]
今まで流通していた『吸血鬼ノスフェラトゥ』の画質のレベル、また、DVDを名乗りながら、しかも大手の会社でいまいち綺麗じゃないなあという気合の入ってないDVDの画質と比べれば、HD-リマスターを名乗ってもいいぐらいのレベルです。
自分は2000年代初頭にBS2衛星映画劇場で、おどろおどろしくどよーんとした音楽と弁士の音声入りで見たので、本DVDの音楽等に最初は違和感がありましたが、これはこれでイイ!
クラシック音楽やディズニー古典映画を見るような感覚で、芸術的に、まったりと堪能することが出来ます。
圧倒的に映像がクリアに、そして傷がなくなったせいで気付いただけかもしれませんが、「あれっ?こんな場面あったっけ?」とBS2で鑑賞した時には気付かなかったような場面も所々ありました。
私の記憶では滞在初日の夜が明けると首に傷跡があったような気がしていたんですが、初日にはなんともなく、フッターは普通に朝を堪能し、郵便を頼むが黙って通り過ぎられ、不安がよぎる、といった場面になっていました。
気のせいの可能性もありますが、他にも見たことのない場面があり、ゆったりとした印象(コマスピードも公開当時に近い形に操作してある)を受けます(完全版と書いた所以です)。
ノスフェラトゥ(マックス・シュレック)の顔も「ああ、こういう顔なのね」とじっくり観察することが出来ます。
テレビに超接近して見ても、鑑賞に堪えうるぐらい綺麗にデジタル補正されています。
表記だと分かりづらいですが、特典映像にF・W・ムルナウの半生とノスフェラトゥ誕生の経緯を綴ったメイキング・ドキュメンタリーが収録されています。
これを見ると、ノスフェラトゥの城等々、登場する印象的な風景が実際にはどういう場所なのかはっきりして、長年の謎(?)が解ける方も多いと思います。
条例を定めているヨーロッパなだけあって景観はそれほど今も変化していないんです。
元値(5670円)だとあまりに高いな、と思いますが、amazon価格でこれなら全然買いだと思います。
無声映画が本当の意味でデジタルになったらどういう映像になるのかぜひ、お確かめください。
ノスフェラトゥ [DVD]
吸血鬼モノ好きは取り敢えず必見。
ヴァンパイアは格好良い、なんてイメージ持っている人には賛否両論だと思う。吸血鬼の原点というか、醜い鬼というのが如実に表現されている。
星が三つなのはサイレント映画版を観た事があり、そっちの方が好きだから。
面白くないわけではないが、サイレント版の方が恐怖心煽る。少なくとも私は。
また、最後が若干納得いかない。
観て損はない。今日日の吸血鬼映画観るぐらいなら、断然お薦め。