枕草子では描かれなかった世界おすすめ度
★★★★★
清少納言の名は知られていても、その主人中宮定子の名はあまり知られていないように思います。
中の関白一家の輝くばかりの様子しかあえて書こうとしなかった「枕草子」に対し、本書は、権力をわがものにしようという男たちに翻弄される一女性の人生を描いた「枕草子」外伝といえるかもしれません。
道長の愛人である左京が、定子のそば付きの女房となり、スパイ活動をするという設定がおもしろいのと同時に、身分の違いこそあれ、同じ女として定子に共感し、同情する左京の変化も読みどころといえましょう。