水曜時代劇シリーズは「宮本武蔵」「武蔵坊弁慶」と続けて見ておりました。両作品共に作品だけでなく、作品中の楽曲がとても素晴らしく、その場面場面を盛り上げるのに功を奏していました。そのおかげでより物語に感情移入し、深く感動したものです。さて「真田太平記」ですが、作品の内容はこれまでのレビューの皆さんが申している通り、脚本や役者陣含めてとても素晴らしいものがあります。しかし、本作品では音楽がどうにも盛り上がりに欠け、せっかくの場面場面での感動が今一つです。これは個人の好みの問題なので、どうでも良い事かもしれません。ただ、音楽が作品の良し悪しを左右することがあるという事を再確認させられた作品でもあります。
これぞ最高作おすすめ度
★★★★★
日本でもっとも権威のあるギャラクシー賞受賞作「真田太平記」。
壮絶な戦いを展開する真田幸村、昌幸。真田の加盟を後世に残そうと苦悩する信幸。
時代劇は片方の一方的な見方で展開するがこの作品は敵味方それぞれの贔屓目無しで
見れる展開。特に真田丸の攻防は見事で長く大河ドラマを見ている私でも記憶にない
ものすごい映像。ここ二十数年、時代劇を見ましたが、これほど完成された作品は無いと思います。
この作品を見ずに歴史ドラマは語れない。そんな大作だとおもいます。
にほんっっ。
おすすめ度 ★★★★★
父が子を、子が父を、兄が弟を、弟が兄を、夫が妻を、妻が夫を、心から深く思いあっている様が決してあからさまではなく、おおげさな表現なしに、さりげなく、それでいて強く。
それがこのうえもなく美しい。
このドラマの中で、榎本孝明役の「角(かく)」は常に問題を捲き起こすトラブルメーカーですがその「角」を真田家の父、兄弟がなんとかかばいあい最後まで決して見捨てることがありません。
どこの一族にもこうしたメンバーがいるものですが、そういった者と何とか共存していくことこそが日本の家族としてのあり方だったような気がします。
ところでこの作品、何度となく「暗殺」の話が出てきます。
大きな権力を倒すにはその権力を握っている者を殺せば手っ取り早いし、解決もしそうな気がするのでしょうね。
しかしながら、あらためて歴史を省みる必要もない自明の理として、テロ行為は(もし成功したとしても)一種のカンフル剤としての役割しか果たせず、結局本質的な成功には至らない事を、このドラマの中の真田幸村は認識しているようでもあります。
20年前の作品ですから、ただ見ているととても地味なドラマです。
しかし、脚本、俳優共に秀逸で、画面の素朴さはまったく気になりません。
それどころか、日本の家族のあり方、戦いに対する考え方など、今でも決してあせることのない魅力に溢れた作品です。