真田といえば「日本一の兵」幸村であり、十勇士でありで、なかなか表舞台に出てこない長男・信之。へたをすると、徳川に組みし、ぬくぬくと永らえた凡庸な長男、みたいな酷い扱いをされたりする信之。ところが、実は父・昌幸にも弟・幸村にも負けない名将であったばかりでなく、冷静沈着で一歩の隙もない器量で、徳川に臣従しながらも屈することなく松代真田十万石を死守した名君として主役に据えたのが、池波正太郎のライフワークともいえる大河小説「真田太平記」である。主役の信之(!)に冷徹さの裏に男の優しさを秘めた渡瀬恒彦、いかにも美丈夫でさわやかな草刈正男の幸村、まさに一筋縄では行かない老獪な武将である丹波哲郎の昌幸。皆「これ以上は考えられない」ハマり役。本流の大河ドラマシリーズからは外れた番組なので、いまひとつ豪勢な感じはしない(合戦シーンは上田の戦も、関ヶ原も、大阪の陣もみな一緒!)けれども、ドラマの面白さと、俳優の芝居だけでも十分楽しめる作品だ。特に世の長男諸兄は、必見の作品だ。
目に焼きつく名場面が盛りだくさんです。おすすめ度
★★★★★
幼い頃に再放送で二十話ほど見たことがあるのですが、その時の印象があまりにも
強烈で、未だに真田幸村といえば草刈さんを、忍びの者といえば夏八木さんをまず
イメージしてしまいます。(両人が最期に鬼の形相で突撃する様はまさに圧巻です)
いま見るとさすがにところどころに時代を感じさせる古い演出が目に付くのですが、
近年の大河と比べると格段に面白く、1回見終わるごとに草の者の動向など史実で
ないオリジナルの部分の伏線の行方が気になり、「早く次の回が見たい!」という
思いに駆られます。おそらく当時としてもそれほど製作に予算がかけられていない
のではないかと思うのですが、「良い時代劇を作りたい」というスタッフ・俳優陣の
熱意があれば十分に傑作は生み出せる、という良い例ではないかと思います。
同じ思いの製作陣が揃うのであれば、ぜひ大河ドラマとしてリメイクしてもらいたいです。
真田モノの大傑作おすすめ度
★★★★★
この作品は数多い真田モノの中では大傑作と言ってよい。昌幸、信之、幸村の真田親子の絆と壮絶な闘争人生を通してそれに関わったあらゆる人間群像を浮き彫りにした感動の物語だ。丹波、渡瀬、草刈の大熱演は必見!大坂の陣における真田丸攻防戦と真田軍最後の突撃は圧巻だ。
脇役も余人を以て代え難い
おすすめ度 ★★★★★
この作品、主役の3人もよかったけど、それ以上によかったのが中村梅之助さんの徳川家康でした。
丸っこい顔に小太り気味の体型の風貌は絵に描いたような感じで、世間一般にイメージされる家康像に多分一番近いと思いました。
人物像も時には優しくまたは厳しく相手に接する表情は、まるで子供を相手にする父親を見ている気がしました。
真田物にありがちな腹黒いだけの悪役・家康でなく、かといって決して聖人や善人ではない。あの忍耐力と度量の広さを持ち備えた天下人・家康らしい器量というものをかなり上手に表現していたと思えます。
例えば、秀吉と面と向かって朗らかに笑って裏で爪を噛んで耐え忍ぶ苦労人の顔や、信之に対しての温情をかける場面や、また自らの子(秀忠)に対しての厳しい愛情など様々な表情を見せており、単なる敵役以上に人間らしい愛すべき登場人物に仕上がっていました。
私にとっては、新大型時代劇を含めた歴代大河においてNo.1の家康公です!