退廃と欲望の楽園『秘蜜の花園』がベールを脱いだとき真の物語が始まる。 おすすめ度 ★★★★★
全2巻で完結予定な表題作『秘蜜の花園』の第1巻『触手蟲地獄絵巻』な著者の4冊目。
6年1組の『山瀬麻美』は動物大好きな優しい子で、生真面目すぎる性格が災いして、独り空回りするタイプ。
5年2組の『谷村茜(表紙)』はオテンバで無鉄砲で、好奇心旺盛でトラブルメーカーだったりもする。
4年4組の『荒井直子』は気配りができる優等生で、普通に女の子女の子してるところがミソ。
物語は茜が得体の知れない卵を拾ってきたことから始まる。
卵から孵ったのはグロテスクな生命体で、触手蟲世界に関わってしまった飼育委員3人組のお話と相なる。
さて、この本は一応著者の商業4冊目であるけど、過去の3冊は何れも著者がプロ入りを決意する以前に同人誌で描かれたものの再録だったので、実質的にはデビュー作に当たる。
今回の味付けはミステリ&サスペンス風味。
触手蟲のアイデアも秀逸で、要所要所でその気色悪さを存分に撒き散らしてくれててミゴト。
基本的には仲良し3人組中心の構成ながら、個性的なサブキャラたちもそこそこ登場してるし、2巻完結ではいろんな面で語り落ちてしまう部分が多くなりそうで、ちょっと心配。
キャラデはかな〜りレトロ系。それがまた斬新だったりもするけど。
さらに作風までもが70年代少女コミックなホラー系を彷彿させたりとか。
ともあれ、触手が物語自体の主役だったりする作品は成コミでも稀少だから、幻想奇譚のファンな方には是非手にとってみて欲しい。
ハードでグロテスクなアイデアがてんこもりなので、苦手な方はパスしてください。
カバー内にオバカ漫画。
『異形の生命体"触手蟲"の謎に迫る!!』2頁。
予告の「退廃と欲望の楽園『秘蜜の花園』が姿を現す」にワクワク。
後書きで著者の言葉にある「普通じゃないエロ漫画の可能性」を、今後も突き詰め、斬新な世界を構築してくれたらと思う。
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