これは傑作だおすすめ度
★★★★★
全ての人の織りなす愚行を愛と自己責任で許し生き抜く姿は美しい。
人は生きるために生き、許し合う。
全ての罪は、償われ、許される。
人は、未来に向け、直向に生き続ける。
森田波子は、逞しく生き続ける、庶民の象徴。
歴史の愚行は、庶民の愛によって、浄化される。
テンポの早い演出は秀逸。
映像の美しさは抜群。
庶民の壮大な自己責任原則は日本を救うだろう。
大陸の夢
おすすめ度 ★★★☆☆
満州が舞台です。原作はなかにし礼です。主演の常盤貴子が美しさを放っています。冒頭のロシア女スパイの処刑シーンは衝撃的でした。大陸の蒸気機関車のシーンも見られます。主人公夫婦は、大陸で軍部と結びついた酒造会社で成功を謳歌します。たたきあげの実業家と軍人の間にはさまる女性の人生も興味深いです。軍人にコンプレックスを持つ実業家の指づめシーンにはびっくりです。ロシア女スパイと日本軍スパイの恋は悲しすぎました。爆撃機の編隊による爆撃シーンは中々の迫力でした。ソ連軍に攻め立てられ、関東軍に見捨てられ、逃げる日本人は本当にみじめな感じでした。ヒロインの常盤貴子の気丈さは魅力的でした。敗戦時の満州に残された日本人の虚脱感が良く出ていました。満州での夢が泡と消えた軍部の身勝手さも描かれています。また、戦争が残した個人へのトラウマにも胸が詰まる思いでした。アヘン窟のアヘン中毒者のシーンは悲惨そのものです。常盤貴子の濡れ場シーンは激しいものがありました。流氷シーンも大陸的でした。復員列車のヒロインの前向きな台詞は良いシーンでした。全体として俳優の演技が芝居がかりすぎていて今一つな気がしました。
概要
自由奔放な性格の波子(常盤貴子)は夫の勇太郎(香川照之)とともに満州に渡り、酒造会社を経営して栄華を極めていた。しかし1945年8月、ソ連軍の満州侵攻に伴い、波子はふたりの子どもを抱えて夫の出張先ハルピンへと逃れ、そこで日本の敗戦を知る。やがて勇太郎は波子の元を去り、彼女はかつて想いを寄せていた元関東軍情報将校・氷室(伊勢谷友介と再会。しかし彼は阿片で全身を蝕まれていた…。
なかにし礼が自分の母をモデルに記した同名小説を『鉄道員(ぽっぽや)』『ホタル』の降旗康男監督のメガホンで映画化。時代に先駆けて自立を目指したヒロインを常盤貴子が存在感たっぷりに熱演しているが、彼女に合わせて原作よりも年齢設定を下げたことなどもあってか、そのキャラクターそのものに対しては、意見が賛否分かれるものがあるだろう。『八甲田山』などの名手・木村大作キャメラマンによる凝った映像美が光る。(的田也寸志)