首都消失《デジタル・リマスター》 [DVD]
実は、この作品大好きです。(星は個人的点数
子供の頃テレビで見たとき、都市を怪物のように稲妻を轟かせながら覆う灰色の雲。
衛星から見た、関東地方にかぶさる異常なまでに丸い雲。
そして政治的な事をバッサリ切り取り、正体不明の雲と戦う人々。
その攻防に、ドキドキしながら観てたものです。
何より、ただの雲が怪物に変わるその怖さは一種のトラウマになっていたときもあり…。
そんな事を思い出しつつ、DVDが出たというので購入。昔の印象そのままでしたね。
パッケージも、当時のポスターの図柄を使い迫力満点。ある意味、このパッケージ通りの無意味な迫力の映画です。
当時原作を買って、中身が大人の世界に入り込むやいなや「つまらない」と放り投げたのもいい思い出。
原作ももちろん面白いのですが、映画はコレで決まりです(笑
Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)
結局、着眼点の問題だと改めて意識した作品。僕は、小説を読了後に、世界観の余韻に浸る事に重きを置いている。嘘でも出鱈目でも『連れて行ってくれた』と感じれば幸福なので、そういう切り口で見ると本書は、残念な感想を持つ。中段辺りから「執筆している著者」が、見え隠れしている印象を持った。また、安部公房の香りが、ふんわり漂う印象も持った。(それが、悪いという意ではない。)ただ、色々なギミックを試みるのは、大いに評価するのだが、その割りには読了後に、あまり「残り香」を味わう事ができなかった。簡単にいうと「すぐに、同著の次の作品が読みたい。」とは、思わなかった。けれど、本書は、「反芻し、読解し、解釈し、咀嚼する。」という作業的な読み方が、とても愉しめた作品であったと思う。「また読み返したい。」と思わせてくれた作品で、その時には、また違った色彩で彩られる可能性のある作品だと思う。最後に、満点を付けた理由は、「0点が付けられないから。」これを、どう受け取って頂いても構いません。
日本沈没 [DVD]
我々日本人が当たり前に住むこの日本列島が、突然海に沈むとしたら一体日本は、日本人は、世界はどうなってしまうのか?
この問いかけに見事に答えた大傑作!
原作の小説を踏襲しているとはいえ、小説以上に緊迫感がある。
最近リメイク版が公開されたけど、見るならこちらが緊張感、人間の心情(特に丹波哲郎扮する山本総理)表現はダントツに上!
東京大地震の場面は、怖すぎるほど迫力満点!
30年以上前の大作だけど、今のようにCGに頼るだけの希薄さは微塵もなく、日本列島が徐々に水没していく様は鳥肌が立つほど迫力満点!
政界の黒幕渡老人と山本総理との会話「何もせんほうが、ええ・・・」や、列島沈没直前のラストの田所博士(小林桂樹)と山本総理との会話「私は日本人を信じたい・・・・云々」は、思わず涙がでる。
リメイク版では感動も何もなかった。
単に特撮に頼るだけの映画は止めて、人間心理を十分に描く作品を作ってほしいものである。
日本以外全部沈没 [DVD]
原作筒井康隆、原典小松左京。この映画が存在すること自体が滑稽で、観ている側はあっと言う間に虚構の世界にほうりこまれる。生真面目な『日本沈没』原典を、読み、ドラマ、更に映画化された2本の作品を観てきた者たちは笑い転げながら観る精神力があるか否か試されているのだ。『日本沈没』ファンはこのまか奇妙な映画を観て最後をかざりたいものだ。2006年に制作されたこの作品は、生々しく、直ちに何が何だかわからない世界に入ることができる。現実か、虚構か。訳がわからなくなる。観ている者はこの映画の存在そのものが怖くなってくる。最後はとんでもないどんでん返しが待っているとはしらずに...。本当に不思議な作品。この映画の存在そのものがパロディー。とにかく、『日本沈没』を観た人、必見の作品である。