野獣死すべし 復讐のメカニック [DVD]
野獣死すべしはこの作品が一番いいですね。優作の野獣〜は大藪春彦というより優作の色がものすごく強いです。どちらも甲乙つけがたいですけど。この藤岡版野獣〜は七十年代ファッションも魅力のひとつです。音楽は村井邦彦のジャズでこれがまた素晴らしい!つい最近CD化されて(野獣狩りとのカップリング!!)すかさず手に入れました!ちなみに野獣狩りもDVD発売してほしいです。邦画では五本の指に入る作品です。
大藪春彦 野獣BOX [DVD]
傑作の誉れ高い須川版「野獣死すべし」そして東宝ニューアクションを
代表する福田純の野心作「野獣都市」。東宝ならではの怜悧でクールな
ノワール(今風に言えば)。同じ大藪原作でも日活での宍戸錠主演作品
や角川映画でのそれと比べると日本映画として突出して乾いたタッチの
作品群であると判る。とくに映画斜陽の時代にプログラムピクチャーを
量産させられた福田純の作品は今一度再評価されてよい。
ダイナー
平山夢明氏の作品は『独白するユニバーサル横メルカトル』だけしか読んだことがありませんでした。もう痛くて(文字どおり肉体的な苦痛)、こわくて、きたなくて、読むのがつらく、氏の作品は当分読まずにおこう、と思いました。
しかし、今回、さまざまな評価の高さにつられて『ダイナー』を読んでしまいました。こわいもの見たさもあったと思います。
ああやはり、痛くて、こわくて、きたないことが満載でした。次から次に登場する、痛そうなシーン(いえ、「痛そう」なんてレベルをはるかに超えています)は、平山氏の、いえ人間の、人を痛めつけることにかけてのあくなき情熱というか、想像力というか、探求心というか、そのおそろしさの暗い淵をのぞかされた気分になります。
そのへんにあるものを使ったわざとか、ルーマニアの秘密警察が使っていた(本当なの?)XXとか、こわい。こわすぎる。
なのに、この小説、おもしろかったのです。なんといっても主人公男性の存在感。異常なほどの料理のうまさ。また、ふわふわと適当に生きてきた主人公女性の成長物語としてもじつに読み応えがありました。
主人公男性の、じつはこういう人だった、みたいな部分がちょっと余計だったかも。彼には、得体の知れない、なのに悪魔的に料理が上手なやつ、だけで終わってほしかったです。
我が家の問題
「最悪」「邪魔」で奥田英朗のファンになった自分だが、最近は「マドンナ」「ガール」
「家日和」といった作品の方に惹かれている。大きな事件が起こるわけではなく、誰にでも
あるような日常のちょっとしたトラブルをコミカルに描いているわけだが、本当にありそう
な話ばかりで、ついつい自分の身近な出来事とダブらせたりしている。奥田氏とは年齢も
近いので共感する部分も随分と多い。
そんなわけで今回の「我が家の問題」だが、やっぱり上手いな〜と感心。
この家庭のその後はどうなったかな?とちょっと想像したり、心配してしまうような終わり
方は、短編小説のお手本とも呼べる見事さだ。
2編目の「ハズバンド」は、この旦那はこの先大丈夫なのか?などと心配になるが、少しで
も前向きにやっていこうという奥さんの健気な感じが良い。
3編目の「絵里のエイプリル」は、実際には子供たちの勘違いというハッピーエンドにする
のか?と思ったら裏切られたが、現実問題に子供なりに立ち向かう姿勢を応援したいと思っ
た。
一番気に入ったのが5編目の「里帰り」。こんなに上手くいく家庭はあまり無いと思うが、
こんな感じで里帰りが出来るのが理想かな。ほのぼのとして心が温かくなった。
サクッと読める良作。
野獣死すべし [DVD]
松田優作あっての映画だった。狂気じみた演技が凄い。
リップバンウィンクルの話を警察にする時の顔つきが尋常じゃない。
優作は、この役作りのために歯を四本抜いたらしい。その熱意に感服です。