虫プロ・アニメラマDVD 千夜一夜物語/クレオパトラ/哀しみのベラドンナ
このセットは素晴らしいです。ただのポルノにあらず、漫画の神様と呼ばれる手塚先生の才能を堪能でき120%楽しめます。しかし、他の方のレビューに1つだけ異義あり。
「ベラドンナ」も素晴らしい、凄い作品です。
一応格下にランク付けされる理由も解らなくもないのです。
・他の2作品と違い、途中で手塚先生が去られたこと
・「ベラドンナ」が制作された数年後に虫プロがつぶれてしまった事
・ヒロインに次々と押し寄せる不幸で残酷な運命は観ていて憂鬱になる
・他の2作品と作風が異なり、水彩画のようなアートを多用。時には線だけで着色されてなかったり、動いているけど目は殆ど動かず、静か過ぎて手抜きと取れない事もない。
しかし、だから逆に観ている側はイマジネーションを掻き立てられます。こんな事を表現したいのでは?という風に。ストーリーは男性にはあまりピンとこないのかもしれませんが、女の私はヒロインにすっかり感情移入して、ハンカチは必需品です。「クレオパトラ」「千夜一夜物語」の完成度の高い作品とは異質ですが、「ベラドンナ」を外したら、私個人はこのセットの魅力は確実にダウンすると言い切れます。
10数年前「クレオパトラ」だけ、どこのレンタルSHOPでも無くて、今回やっとAmazonで3作品が購入できて大満足です(*^-')b。あまり知られていないようなのは勿体ないです。
クレオパトラ [DVD]
巨額の製作費が20世紀フォックスの屋台骨をゆるがし、ニュー・シネマ以前の古い映画の行き詰まりを象徴する映画として、色メガネで見られがちの映画だが、そういう映画史的背景を忘れて虚心坦懐に見れば、なかなか良く出来た作品だとわかるだろう。
スケールの大きさばかりが強調されがちだが、クレオパトラ、シーザー、アントニーの人間性とその関係の描写も確かだ。
もちろん群衆シーンの迫力も魅力のうちだが、デジタルリマスター&5.1chでその真価が発揮されているように思う。
監督が望んだのは6時間版であり、その復元が進んでいると聞く。こちらもとことんつきあいますから、是非6時間版を完成させて下さい。
「クレオパトラ 製作50周年記念版ブルーレイ・コレクターズBOX〔初回生産限定〕 [Blu-ray]
制作費4,000万ドル、エキストラ22万人というのは、流石に宣伝文句だろう。
これだけ制作費が投入された理由は様々なトラブルが続いたためである。
が内容から判断すると2,000万ドルくらいは使われているだろう。
2,000万ドルでも当時としては破格の超大作である。
エキストラ22万人・・・これもやはりオーバーである。
名高いクレオパトラのローマ入城場面でも動員されたエキストラの数はせいぜい一万人前後ではないだろうか。
それでもフォーラムにぎっしり詰まった大群衆を掻き分けるかのように入城してくるスフィンクスの巨大神輿に乗ったクレオパトラの登場シーンは大迫力である。
このフォーラムの巨大オープンセットと映画冒頭他数度出てくるアレキサンドリアの港の宮殿は巨大で凄い見物である。
何もこの作品誇大表現を用いなくとも超大作な作品なのである。
更にクレオパトラの黄金の船も原寸大で再現されており後半の山場のアクチウム海戦でも数隻の軍船がこれも原寸大で作られている点が凄い!
これだけでも大作映画一本出来るだろう。
クレオパトラの黄金の船を追って小船で溺れかけている兵士を尻目にひたすら追いかけるアントニウスがどこと泣く滑稽に描かれているのが面白い。