パンドラの匣 [DVD]
主人公のひばり役、染谷将太くんがスゴイ!あの雰囲気、あの表情、目つき…
18歳とはとても思えない、大人びた憂いのある表情。
18歳でこんな風になれるものなのかと感心してしまいました。
この人はもう少し年をとったら、イイ男になるに違いないです。
あと、川上未映子。作家さんなのに、なんでしょうこの存在感。
見た目はそこまで華やかだったり美人なタイプではないのに、
話が進むうちに、だんだんと綺麗に見えてくる…
この人の美しさは見た目じゃなくて、内面からにじみ出る妖艶さや凛とした美しさなのでしょうね。
仲里依沙もいい。現代っぽすぎて、最初は違和感を感じるのですが、
そこがこの作品の浮遊感だったり、飄々とした雰囲気につながっているんだと思いました。
ふかわりょうも意外に(笑) なんかこの雰囲気に合ってる(笑)
ラストのひばりの「悲哀」と「希望」。
この「希望」があるから、救われるし暖かくなる。
ひばりの「パンドラの匣」に「希望」が残ってよかった。
独特の雰囲気でラストまで漂っていった、心地よい映画でした。
ヘヴン (講談社文庫)
「したら罪悪感が芽生えるからか?じゃあなんで君には罪悪感がうまれて、僕には罪悪感がうまれない?どっちがまっとうなんだろう?」
この作品の百瀬というキャラクターはすこぶる格好いい。
他の方も書いているがそれこそ『カラマーゾフの兄弟』のイワンのような《理論こそ全て》といったような態度は「お前、絶対中学生じゃねえだろ」とツッコミをいれたくなること必至。だが、こんな風に世の中を達観している百瀬はおそらく《死》を常に傍らにあるものとして生きているのだろう。故に、体育に出れず、常に咳をしていて、体を激しく動かすようなことはできない。
「地獄があるとしたらここだし、天国があるとしたらそれもここだよ。ここがすべてだ。そんなことにはなんの意味もない。そして僕はそれが楽しくて仕方がない」
本音かどうかは兎も角として、彼のこの思想は《ヘヴン》を信じるコジマの考え方と真っ向から対立する。
弱肉強食の原理で動いている社会で生き残るためには強くなければいけない。
そこに善悪の概念など必要ない、むしろ邪魔なものだ。
だから、強くなればいいんだよ、というのが百瀬の考え方。
しかし、コジマは弱肉強食の原理だからこそ、弱いものが絶対に生まれるシステムだからこそ、誰かの代わりに率先して自分が弱いものになることが現世での《試練》であり、それを乗り越えることで自分の大好きな絵のような人と人が完全に判り合い、愛し合える世界、《ヘヴン》に行けると考えている。
だから、同じ《試練》を乗り越える仲間であった“僕”が「斜視を治すことができる」という話をした時、悲嘆し非難する。
「わかっていたんじゃなかったんだね」と。
まぁ、それはそうだ。
コジマは実は金持ちの子どもであり、体を清潔にしさえすれば、身なりをきちんとしさえすれば、いつでも弱者から脱出することはできたのだから。
「あえて」弱者でいたコジマと「望まないのに」弱者でいた“僕”は決定的に違ったのだ。
僕の人生は「一万五千円」で変わることになる。
コジマとの絆、母との絆を立ち切って、目の前に広がる景色はただただ美しいものだった。
百瀬の言うとおり、世界は残酷で、“僕”もそのシステムに飲まれ、斜視を治し、学校をやめて、弱者ではない生活を送ることになるだろう。
罪悪感もなく。
故に、二度とコジマとも会わないし、会えない。
悲しいラストは、“僕”にとっては幸せなラストでもある。
それがまた、悲しいのだ。
すべて真夜中の恋人たち
雑誌ですごく紹介されていたので期待大でしたが、、、うーむ。
川上作品で好きなのは、カギカッコの一方的な哲学感が好きです。
今回も主人公の友達(主人公の対比相手はいつも美男美女)の暴走する/思考が止まらない人のわたしぶし炸裂
「うつくしい、かわいい、ださいなどは自分でかんがえていないこと すでにだれかが考えたこと
唯一恋愛は、自分の本能 自分だけの感情」的な事はなるほど とおもえました。
ヘブンの方が好きかな?
他の方もおっしゃっていましたが、主人公魅力ないですよね
世の中の大半はきっと そんな人ばっかだし 自分もそうなんだなとも思えます。
わくわく感やこうよう感ってみんな好きだと思うのに 最近の小説は排他的な事ばかりで夢がない
夢みる機械
作家としての川上未映子はよく分かりませんが、
これはとても聴きごたえのある、良いアルバムです。
歌声には芯の強さを感じます。
聞くたびに味が出てきます。
ケイティー・タンストールが好きな人は
これも好きになると思います。
『悲しみを撃つ手』が素晴らしいです。
小説もいいけど、アルバムをもっと出して欲しい。