圧倒的なまでに開いてしまった組織の差をどう乗り越えるのか……カリーニンの動向をはじめ、今後の展開が非常に困難に思える描写の数々の中、動きつどい始めた希望がどのように道を進んでいくのか?
炎の絆おすすめ度
★★★★★
角川書店・富士見ファンタジア文庫刊
賀東 招二著作「フルメタル・パニック!」の長編シリーズ第9作
『つどうメイク・マイ・デイ』を収録した文庫本です。
サンフランシスコ南部にある病院で一人の少女が保護された。
髪は乱れ、頬はツヤを失い、唇は乾き、うつろな瞳に生気は感じられない。
その患者の担当医マーサ・ウィットは彼女に優しく尋ねた。
「あなたの名前は・・・?」
「テレサ・・・テスタロッサ」
衝撃的な冒頭から始まる本作。
第8作「燃えるワン・マン・フォース」から14ヶ月。
ついに放たれた372ページの長編が織りなす反撃の物語は読み応え絶品。
壊滅的、絶望的な状況をもねじ伏せる彼らの意地の全てが
随所に散りばめられており、読み進める手が止まりません。
壊滅したメリダ島からトゥアハー・デ・ダナンで脱出したミスリルのメンバー。
何をされるわけでもない幽閉状態の千鳥かなめ。
筋力は衰え、瀕死の重傷を負った相良宗介。
3つ巴の視点が次第に絡みつき、戦えるだけ戦ってから死ねと訴えるような
青く静かに燃えるその熱き生き様に興奮します。
そして、ついに登場する新型アーバレストともいえる炎の剣・ARX-8「レーバテイン」。
ラムダドライバを駆使し、異常すぎる機動力とありえない攻撃力で
ベヘモスすら圧倒する機体能力に驚かされます。
しかし、全くの完全無欠ではなく、穴のあるじゃじゃ馬設定が
うまくお話にバランスを取っている感じが巧みですね。
彼は銃弾に倒れ、匂わせていた反逆者が名乗りを上げ、二人は強い絆を取り戻し
物語は次巻へ続く・・・と思いきや、長編第1作「戦うボーイ・ミーツ・ガール」から
完全に置き去りにされていた彼女がエピローグで脇を固め、さらに驚愕必至。
読者の期待と予想をさらに上回る、力強い描写と緻密な構成力で見せる
作者の器の大きさに感嘆しました。間違いなく必読の一冊です。
反撃開始
おすすめ度 ★★★★★
OMO、OMFと欝展開が続きましたが遂に宗介たちの反撃が始まります
宗介とミスリルも合流して新型AS ARX―8〈レーバテイン〉も登場!
最後のかなめと宗介の無線のやり取りは今までフルメタを読んできた人は感涙すること間違いなしです
南風を聞きながら読んでみてください