タルコフスキーの戦争と人間への視線おすすめ度
★★★★☆
タルコフスキーの作品の中では、未熟であり、不満の残る作品である。特に、主人公のイワン少年の性格が類型的である事が、私には不満である。しかし、それでも、タルコフスキーの作品である。破壊された教会とその背後から射す太陽の逆光、狐の嫁入りの様な美しい夕立ち、イワン少年が向かふ暗い水の水面など、はっとさせられる、神の啓示の様な、美しい場面が、随所に在る。戦争を描きながら、自然と人間を、絵の様に描くタルコフスキーの視線は、後の『アンドレイ・ルブリョフ』や『鏡』を十分予感させる物である。又、タルコフスキーは、日本映画、特に黒澤明と溝口健二に傾倒して居たとの事だが、日本映画の影響が随所に見られる点でも、興味深い箇所が多々有る事は指摘しておきたい。−−ベルリンにおけるソ連軍のベルリン市民への残虐行為を描いて居ない事は仕方の無い事である。そうした現代史の解釈についてはあえて論じない。−−戦争は、悲惨である。
(西岡昌紀・内科医/東京大空襲から61年目の日に)
色褪せることなくおすすめ度
★★★★☆
難解な作品を撮るという印象が強い
タルコフスキー監督の作品の中では
分かりやすく観やすい作品。
戦争という大きな渦に巻き込まれ
妙に大人びてしまった少年と
彼を取り巻く軍人たちの悲しみ。
平和な時代に子供として過ごせたことに
改めて感謝をしたい気持ちになる。
「古い映画は名作と言われててもちょっと退屈」と
思っている方でも退屈せずに観れる佳作。
後に巨匠になるタルコフスキーの力量の片鱗を
映像から感じずにはいられないだろう。