テニスファンには面白いかなおすすめ度
★★★☆☆
ヒネリ一切なし。ドンデン返し一切なし。みんな良い人で毒気もなく、全てが予想通りに展開します。ユーモアの出し方も予想通り。イギリス映画たる片鱗は主人公とその家族がイギリス英語を喋っているとゆーくらいで、これがアメリカ映画でも全く違和感がない。イギリスのロマコメも断末魔か。
『フォー・ウェディング』『ノッティングヒルの恋人』を制作したスタッフだそうですが、「イギリスの内気オトコがアメリカ女性の出現で変わる」とゆー共通項が何気に興味深い。ここらへんのファンタジーは日本人のオンナの私にはよく分からないところですが、しかし待て、本作の「アメリカ娘」はウィンブルドン初出場の若手スターというのだからまだ十代だろう。燃える闘魂でツアー転戦中の十代ギャルがテニス人生黄昏時の三十男と安定した恋愛関係を保てるのか?引退してライジングスター娘のヒッティングパートナーにでもなるのかな?、等々、見終わって余計な心配をしてしまひました。
テニスファンなので手に取ってみたのですが、無名選手がウィンブルドンで優勝するというのはまず不可能だろう、という野暮は言わないでおいて、試合場面はギリギリ誤魔化して見れるか見れないか、危ういところです。身体が躍動してないんですよね。なんとなくラケットが木製だった時代の女子テニスを見ているような感じ。ヒロインの方のプレー姿は全くダメ。
総じて、絵的に夏の風と緑が爽快な映画です。ウィンブルドンの解説でお馴染みのマッケンローやクリス・エバートが登場し、本物の選手ラウンジや控え室が拝めるのがちょっと嬉しいです。
フレッシュ・ラブコメ
おすすめ度 ★★★☆☆
テニスに詳しいわけでもなく特に好きということもないのですが、キャスティングとイギリスが舞台という点に惹かれて見てみました。主演2人はのびのびと楽しそうに演じているし、試合のシーンはかなり迫力があって工夫して撮られているので、最後まで楽しめました。ラブコメにサクセスストーリーを足したという印象です。全体的に明るく軽めのタッチなので、肩肘張らずにスッキリできるお話が見たい時にオススメです。
キルスティン・ダンストが勝気でポジティブな選手リジーを演じているのですが、彼女って可愛い時とそうでない時との差が結構激しいですよね。今回は、全体的に良かったと思います。役柄と雰囲気がマッチしているし、ポール・ベタニーとの相性もいい。ポールは現役選手としての力に限界を感じていたけれど、リジーと出会った事でめきめきと調子を上げていく主人公ピーターを熱演。彼の家族との描写が映画の中でいい味を出しています。
ポールと監督の音声解説では、演じていて感じた事などを色々吐露していて興味深いです。リジーの父親役であるサム・ニールとの初共演シーンでは、かなりビビッていたそうな。確かに威圧感あります・・・。
主演2人のファンなら勿論、テニスに詳しくなくてもちゃんと楽しめるように作ってあるので、スポーツ物ラブコメが見たい時にぜひ。
概要
全英オープンテニス(ウインブルドン)を最後に引退しようと考えていた落ち目のテニス選手ピーターは、ホテルの部屋を間違えたことをきっかけに女子の優勝候補リジーと出会う。気があったふたりは接近していき、彼女の応援でピーターは勝ち上がっていく。リジーは勝利の女神。しかし、ピーターに恋した彼女は、反対に心乱され、肝心のテニスが疎かになってしまう…。
ヒロインが有名で相手役が無名という関係、男性のまわりのユニークな家族、友人たちなど、構成がどこか『ノッティングヒルの恋人』を思わせるも、舞台はテニスのトーナメント。選手のジンクス、記者会見、エキサイティングなゲームなどテニス界のエピソードとラブストーリーが絶妙のバランスで描き出され、さわやかでコミカルな作品に。
主演のポール・ペダニー、キルスティン・ダンストともにテニスプレイヤーにピッタリで、ふたりの好演がこのフィクションをリアルに映し出している。また試合の解説者に往年の名選手クリス・エバート・ロイド、ジョン・マッケンローが顔を見せているのもテニスファンにはうれしい。(斎藤 香)