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蒐集家(コレクター)―異形コレクション (光文社文庫)

井上 雅彦
おすすめ度:★★★★★
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収録作品数がやや多い
おすすめ度 ★★★★☆

大変密度の濃い20人の著者の書き下ろし20作品が収められているが、このシリーズの常でもある。それぞれの作品には著者の個性が遺憾なく発揮され、ほとんどの作品で予想もしなかった結末が用意されている。我々読者は読む楽しみに加えて、衝撃的な結末を含めた読後の余韻にひたるのも楽しみの一つだ。そういう観点から思うに、もう少し収録作品数を厳選して少なくする方が手軽で読みやすいかも知れない。

コレクターというタイトルは読者を裏切らない。このタイトルから、ちょっとした切手などのコレクションなどを想像する方はほぼ皆無だろう。それよりもコレクターという言葉に狂気じみた響きを感じる。内容はやはり、、、である。膨大な蔵書のコレクションであったり、色々な動物の目玉のコレクションであったりと、時には極度のお道楽、時には猟奇じみたりしている。ホラー・ミステリーファンにはたまらない内容だ。中島らも氏の遺作も収録されているが、これは大傑作だ。

収録作品数はやや多めだが、ハズレは一つも無い。
どの作品も一気に読めてしまう面白さで、結末が心に強く突き刺さる。



遺作となった中島らもの短篇に唸る
おすすめ度 ★★★★☆

世にも稀なるものを蒐集することに憑かれた人たち。
蒐集する行為が引き寄せてしまう人外魔境の妖しの世界。
書き手によって様々に料理された短篇の妙味を、随所に感じた。

特に印象に残った作品は、浅暮三文の「參」と、中島らもの「DECO-CHIN」。
前者は、摩訶不思議な漢字が繋がっていく趣向が面白かった。

後者は、急逝した中島らもさんが事故三日前に書き上げた遺作。書き手の魂が作品にこもった傑作。読後、「これは凄い!」と唸った。

この二作以外では、夢枕 獏の「陰陽師 蚓喰(みみずく)法師」、北原尚彦「愛書家倶楽部」、沖方 丁「箱」、早見裕司「終夜図書館」、飛鳥部勝則「プロセルピナ」に、◎を付けた。

今まで読んだ「異形コレクション」シリーズのなかでも、上位に置きたい一冊である。
この手のホラー小説、ダークファンタジーのアンソロジーがお好きな方に、ぜひ御一読をとお薦めしたい。



中島らもの遺作も収録
おすすめ度 ★★★★★

中島らもが亡くなる3日前にFAXで原稿を送ったといういわく付きの作品「DECO-CHIN」も収録されている。グロテスクな内容が突然の死を思い出させ、「蒐集」をテーマに集められた短編集として異彩を放っている。どの話しもぞっとするものばかりで、夏の一夜に丁度よい、読み応えのある短編集だ。


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