周縁性とダークさ おすすめ度 ★★★★★
サッカーに関心はあるが、諸事情からテレビ観戦のみなのでファンと迄はいえない。ジダンは、無論近年最高の選手の一人であり、異様な形でサッカー界を去り話題となった。 彼の引退直前、特異なドキュメント映画が作られたのだが、残念ながらこれも未見。本作は、モグワイによるサントラ。セルティック・ファンで有名な彼らが何故と思ったが、仏・スコットランドの二人が監督だという。 音だけ先に聴いたのだが、結論をいえば、通常の作品に全く劣らない。むしろ、近作に少し不満だったので、前作よりいいかもといいたいぐらい。ノイズの爆発はないが、これは仕方ない。 いつも通りダークでミニマルな世界が続く。そもそも、通常の彼らの音楽自体が、あるダークな世界に関するサウンドトラックの様なものだから、本作に違和感がないのも当然か。むしろ、他者の映像という素材がある分、モティーフや輪郭が鮮明な感がある。 以下は深読みだが、近年の仏代表の多くが移民で、様々な論議を呼び起こしている。他方、スコットランドも英国の中心ではない。余り笑顔を見せない仏代表達と、一貫してダークなモグワイの音楽は、周縁性がもつ否定性において通底している様にも思える。
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