ヒッチコック・シグネチャー・コレクション 〈6枚組〉 [DVD]
LDにもなっていなかったディートリッヒ出演作『舞台恐怖症』をはじめ、ワーナー系の作品がついにDVD化。『北北西に進路を取れ』は、さんざん廉価版で再発されているので、まぁいいとしても、シグネチャー・コレクションアメリカ版(『北北西…』も含む10枚組で、約100ドル!)に入っていた『海外特派員』『断崖』『スミス夫妻』が日本版には入らなくなってしまったのは本当に残念(某サイトの予約コーナーでは『海外…』と『スミス夫妻』が入るとあったのに…)。キャロル・ロンバードのスクリューボール・コメディ『スミス…』だけでも入れて欲しかった。他社との権利関係でアウト?あ、ところでこれって、デジタリー・リマスタード版ですよね???(★は3つ半くらい…)
鮎川哲也名作選―冷凍人間 (河出文庫―本格ミステリコレクション)
著者が中川淳一や薔薇小路棘麿(!)などの名前を使っていたころ、本当に初期の短編15作と、藤雪夫、狩久と合作した長編(量的には中編かな)『ジュピター殺人事件』が収められています。
本の副題が「本格ミステリコレクション」となっているのですが、本格以外のものもかなりの数あって、そのジャンルはファンタジーからメルヘン、はては怪獣ものまでとバラエティにとんでいます。かえってこれら(『月魄』『地虫』『怪虫』など)のほうがミステリよりできがいいくらいで、著者の物語を創造する力と筆力に改めて凄さを感じました。
『黒いトランク』や『りら荘事件』など、緻密で計算された本格ミステリ作家・鮎川哲也とはまた別の顔が楽しめる一冊、ファンなら読むべし!ファンでなくとも読んでみて、おもしろいよ。
ダイヤルMを廻せ ! 特別版 [DVD]
ヒッチコックの代表作のひとつで、最初から犯人はわかっているのですが、
いわゆる密室殺人のトリックを暴いてどうやって真犯人を探し出すかという
捜査過程の醍醐味を思う存分に楽しませてくれる作品です。
犯人としてはアリバイ工作を周到に計画するのですが、完璧なアリバイ工作
などできないことを裏付けする刑事とのやりとりが面白い。
レイ・ミランドのち密すぎるぐらいの演技がとてもリアルであったが、最後は
刑事の罠にまんまとはまって御用となった。なるほどと思うラストシーン
にため息がこぼれました。良かったですよ。
ダイヤルM [DVD]
リメイク作品ですが、ヒッチコック版をかなり脚色しているため、
オリジナルのあらすじを知っている人も楽しめると思います。
ただ、ひとつだけどうしても気になったのが、文字通りこの映画の
キーとなる"カギ"の存在です。
私はニューヨークに住んでいるお金持ちの家を訪ねたことはないので、
正確なところわかりませんが、現在ならああいう家庭では、外に通じる
ドアはすべて電子ロック式になっているのではないかと思ったのです。
セコムのようなセキュリティ・システムも導入しているのではない
でしょうか?(同じマイケル・ダグラスが主演の「ゲーム」は、たしか
そうなっていたはず)
ストーリー上、カギを除外できなかったのはわかりますが、リメイク作品の
欠点が如実に出てしまったなぁ、という感想を持ちました。
ヒッチコックに進路を取れ
山田宏一と和田 誠。映画通のふたりが、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画作品について自由に、気軽に語っていく対談集。「ヒッチコック映画、だーい好き」「この映画のね、ここがとっても面白いんだ」「この映画には、こんな裏話があるんだよね」などなど、サスペンス映画の巨匠の作品を語り合っていくふたりの生き生きとして楽しい雰囲気が、とてもいいですね。ヒッチコック映画のファンのひとりとして、画面ならぬ本の頁に釘付け状態。久しぶりにあの映画、この映画の忘れがたいシーンが蘇ってきて、夢中にさせられました。
例えば、『泥棒成金』の項。Y(山田)が、<ヒッチコックはケーリー・グラントに「グレース・ケリーとキスさせてやるから」と言って映画に誘ったらしいよ(笑)。ケーリー・グラントも「グレース・ケリーとならぜひキスしたい」(笑)と出演を承諾したって言っている。>と語るところ。思わず、「へーっ。あの映画の裏にはそういうことがあったのかー」と、心の声を上げていました。この次、『泥棒成金』見る時は、今まで以上にキスシーンに注目だあ(笑)
ヒッチコック映画を語るうちに、ほかの色んな映画の名前がそれからそれへと挙がってくるのも面白かった。『スミス夫妻』の項で、スクリューボール・コメディの秀作がずらずらっと挙がってくる件りなんか、「すげぇー」て感じで拍手したくなりましたねぇ。で、そこ(本書の96〜97頁)に出ている作品の中から、前から「見てみたいなあ」と気になっていた映画のDVDをたまらず、注文してしまいました。
という副産物もあったり、ヒッチコック映画をまた見てみたくなったり、本書はいろんな意味で面白く、興趣が尽きません。