風林火山 [DVD]
一見すれば、三船プロが隆盛を極めた時期に撮られた作品であろうことが容易にわかる大作で、
まずは豪華な出演陣と合戦シーンでのエキストラの多さにに驚く。
井上靖の原作にかなり忠実だが、ところどころ映画的な解釈、演出が取り入れられており実に楽しめる。
特に、原作には無いコメディー的キャラクターの武平(ぶへい)を演じる緒形拳が
とても親しみ易く微笑ましいキャラクターを生き生きと演じており、作品に華を添えている。
また、三船の演じる勘介は原作のイメージと違うという意見があるが、
私にしてみれば、初勘介=三船だったので、むしろ他の役者が演じた勘介に違和感を覚える。
物語終盤、戦場を騎馬で疾駆する山本勘介の格好良さは三船だからこそ醸し出せたものだと思う。
川中島の合戦を描いた映像は幾つかあるが、結局、いろいろな意味で本作が最高傑作と言えるのではないだろうか。
レーザーディスクが市場に出回リ始めた頃、本作の2枚組のソフトが発売されたが、
そちらはトリミング収録されたものだったので決して納得の行く品物ではなかった。
その点、この製品はワイド収録との事なので、今まで見えなかった部分まで見られることが嬉しい。
風林火山 (英文版) - The Samurai Banner of Furin Kazan
『戦国の乱世、最強といわれた甲州武田軍。「風林火山」のもと天下統一を目指す武田軍の中心には、孤高にして天才的な軍師・山本勘助がいた。夢半ばにして歴史から過ぎ去っていった人々の果敢な後ろ姿を、華麗な筆致で描いた井上文学の金字塔。2007年NHK大河ドラマの原作。』
チャールズ・イー・タトル出版による内容のご紹介。
訳者 Yoko Riley による翻訳。『風林火山』の英文翻訳を読みたい方はぜひともおすすめ。
夏草冬涛 (上) (新潮文庫)
中学校に進学した洪作のその後。
優等生だった小学校時代から一転、だんだんと生活態度が堕落して不良の色彩を帯びていったり
異性に対する関心が強くなっていったりする様子が生き生きと描かれています。
いつの時代も少年時代に抱える特有の不安と期待は変わらないようで、
人はこうして大人になっていくのだなと読み終えてしばし感慨にふけりました。
中学生や高校生を始め、若い読者は是非読んでいただきたい作品ですね。
非常に読みやすいので、井上靖の入門としてもおすすめできます。
伊豆の踊り子、他 (英文版) ― The Izu Dancer (タトルクラシックス )
The narrator of the story is a nineteen-year-old student traveling alone through the Izu Peninsula. When he is climbing toward Amagi Pass, he meets a troupe of itinerant performers and gets attracted to the young dancer who plays the drum. He wonders if she will spend the night in his room, but when he happens to see her run out naked into the sun at the outdoor public bath, he realizes that she is a mere child -- too young for lovemaking. Feeling as though a layer of dust has been cleared from his head, he happily accompanies the troupe to Shimoda, where he says good-by to the little dancer and takes a ship to go back to Tokyo. Aboard the ship, he silently weeps, but quite unashamed of his tears. Full of romanticism, this is perhaps Nobel laureate Kawabata’s most popular novella.