悪魔のパス 天使のゴール (幻冬舎文庫)
この小説は、中田英寿さんのサイト上で連載されたものだそうで、
準備段階から中田さんが協力をしているとのこと。
著者の村上龍さんとサッカー選手の中田英寿さんは友人で、
小説に登場する夜羽は中田さんをモデルに
そして矢崎は村上さん自身をモデルにしているのだと思います。
巻末には中田さんの解説もあります。
ジダン、デル・ピエーロ、インザーギなど
セリエAの実在選手も登場し、
クライマックスの試合シーンは112ページに渡り綿密に描かれています。
サッカーファンの方にはぜひ、お勧めします。
サッカーファンでない私でも十分に楽しめました。
村上さんのサッカーへの愛情が感じられました。
読み終わった後に、セリエAの試合が見たくなります。
悪魔のパス 天使のゴール
村上龍さんが書かれたサッカーを題材にした小説。当初掲載されたのが中田英寿さんのサイトであったこともあり非常に話題になった。
……と、まぁこれだけ書けばこの作品の紹介はできるでしょうか。
導入部は欧州サッカーに密かにはびこる謎の薬品に日本人サッカー選手・夜羽が気づき友人の矢崎に告げるミステリの要素たっぷりの展開で、グイッと首根っこを捕まれたように引きつけられてしまいます。サッカーとミステリなんて有りそうで無い結びつきで、グイグイと読み進めていくのですが……中盤あたりでミステリ的な要素はドンドンと失速していき、気がつくとなんだか紀行文のようなお話に、うーん不満が残るなぁ。
高く評価されている終盤のサッカーシーンも、もう謎の薬品はどうでも良くなっているんですよね。おぉ、サッカーの試合の一部を巧く切り取っている、夜羽とユヴェントスの対決をじっくりと描いているなぁと思っていたのですが……あれ、number誌の記事を読んでいるんでしたっけ? と思ってしまった時点で、ちょっと冷めてしまいました。
ミステリ部分いらないよなぁ、これなら。
サッカー小説と言えば野沢尚さんの『龍時』が読みたくなってきたなぁ。