Dream Port(DVD付)
曲自体の評価は星4。
初回特典版は紙箱を折れないように開けるのに、若干のテクニックを要するかもしれない
曲調は無印chronicleやLostと似て、民族音楽風。wintermix2003を持っていて、なおかつ好きな人なら買いの一点。
私見だがメジャーデビュー以降、特にキングレコードになってから特典でファンを釣っているような気がしてならない。
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
2009年2月。「アメリカの魂」である自動車産業のビッグ3が、政府の公的資金を要求している。その象徴的な都市、デトロイトのオーケストラとポール・パレーが奏でるドビュッシー。
演奏は1955年と61年、デトロイトの録音である。
パレーの演奏は、印象派の曖昧模糊とは完全に無縁。
まず、明晰極まりない『牧神の午後の前奏曲』が美しい。デュトワやマルティノンなどいろいろな名演はあろうが、このパリッとした響き、濁りのない響き、まことにパレーの名人芸だ。昔の指揮者は凄かったのだなあ!!!
『海』も同曲最高の演奏に数えられよう。言葉はむなしい。褒め言葉は『牧神』と同じだ。明晰なリアルな響きなのに、リアルになり過ぎないというか、即物的ではない。第1曲など、夜が明けて、太陽が昇ってくるシーンが、パリッとした音のドラマとして大胆に描かれる。強引のようにみえてさにあらず。ピタッとはまっているのだ。詩情というのとも違う。パレーはなるほどフランス人だが、そういう「お国物芸」を大して信じない評者は、これは天才と言うしかない。第3曲の「風と海のダイアローグ」も、どこか人知を超えた厳しさが漂う。それが神秘化を通してではなく、即物的な音として現われているから不思議と言えば不思議。
現代の指揮者にも似たような演奏はあるが、こうは響かない。
同じことは『夜想曲』でも言える。第2曲「祭り」の強く柔軟なリズムと響き、「シレーヌ」のナイーヴにならない直截性! 女声合唱のゾンザイなくらいの大胆さ!!! それが一層作品を生かす。閃光のような金管も見事であり、少しも機械的にならない。
『イベリア』もまた名演。第1曲、3曲は大胆にして直截的でしかもピタッと決まる至芸。第2曲「夜の香り」がまた絶品だ。これまた曖昧さはないが、ザワザワと夜の冷気が忍んで来そうであり、甘やかなニュアンスが挿入される様には、唸らされる。
パレーに較べれば、多くの演奏が2流である。マーキュリーの録音も実によい。
暗い国境線
連合軍のシシリー島上陸作戦に先立って行われた,大掛かりな
欺瞞作戦。第二次世界大戦の諜報戦を描く作品でしばしば取り
上げられる有名な作戦だ。かなりの頁を使って説明しているので,
詳しく知りたい人には読み応えがあると思う。
ただし,これだけ美味しい素材を使いながら物語が今ひとつ盛り
上がらない。この作戦にしろ,カナリス提督にしろ,イギリスの
諜報部の内情にしろ,それぞれ本ができてしまうだけのエピソード
があるので,色々事細かに手を出した結果,肝心の主人公達の
活躍が少なくなってしまった。また,物語のメインストリームに
なる舞台が主人公達から遠く離れた所になっているため,北都達を
あちこち動かしても,その行動には何か無理を感じてしまう。
もっと話の内容を整理して欲しかった。
それと,このシリーズも4作目で登場人物はお馴染みの面々。
それぞれの立たされた「立場」を読者は殆ど知ってしまっている。
逢坂さんの小説の王道である,「謎の人物がいて,それが物語の
核心に絡んでくる…」という展開にならないのも痛い。登場人物の
やる事に意外性が無いのだ。
結局,素材は良いのだけど,それを生かし切れず本作はどこか消化
不良の出来になってしまった。前作は切れ味鋭い良作だったのに
残念。
ドビュッシー / ラヴェル [DVD]
入念なリハーサルを重ねてきて、楽団もチェリビダッケの要求が体に染み付いた状態になっているようですね。非常にクオリティが高いです。
また観客も、時折天井を見上げたり目をつぶったりしてこちらもまた指揮者の求める音を感じ取ろうという心構えが出来ているように見えます。
オーケストラを上から見下ろすようなアングルで映し出されている映像を見ると、指揮者はいつもこのような視点でオーケストラを見下ろしながら指揮をしているのだろうと思わずにいられません。演奏効果がよく計算された美しい演奏だと思います。