トガリ (1) (少年サンデーコミックス)
孤独の中、自分が生きるために罪を重ねてきた主人公・統兵衛が、現世で他者の罪を狩りながら自らの罪とも向き合い、また、周囲の人々と関わりを持つことで、だんだんと人の心や愛情を理解し、人間として成長して行く過程を描いた、まさに「成長物語」の王道作品。
表紙のイメージから重々しい内容かと思いきや、適度にギャグが入ったりもするので漫画としてのバランスが良く読みやすい。見た目と違って万人向け。
ただ、敵である「咎」との戦いが単調で工夫が無いのが残念。影に潜んだり、霧を出したりとスタンド能力っぽい要素が出てくるものの、その扱いは中途半端で、「ジョジョの奇妙な冒険」の能力バトルのような奥深い駆け引きや能力の意外な使い方などは無く、バトル部分はかなり大味。「咎」のデザインも地味なうえに似たり寄ったりなので魅力が無い。
また、「自らの罪に向き合う」というテーマが根本にあるために仕方ない部分ではあるが、木刀の「咎狩」の能力も「悪の心が強いほど強い力を発揮する」というものなので、敵の能力や相性とは無関係に、統兵衛の「心の在り様」で戦闘力が大きく変わり、勝負が決まってしまうのが物足りない。
咎狩白 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
サンデーで連載している時から大好きな漫画でした。
連載時はいつも後ろの方に配置されていたので捜すのは簡単でしたが、いつ連載が終わるのかとヒヤヒヤしながら読んでいたのを思い出します。
明らかに打ち切りな終わり方な上にこれからが面白くなりそうな展開だったので、とてもがっかりしていましたが復活させてくれた事に感謝です。
それにしても「EVIL HEART」(こちらも推奨)の作者といい、作品を完結させようというプロ意識に頭が下がります。
ただ、ストーリーや設定はシンプルだけど、本作に至るまでの主人公の変化がテーマになっているだけに、どんなに設定を追加してもご新規さんを引き入れるのは難しい気もします。
サンデー時代の「トガリ」を好きだった人の要望に応えた作品なので個人的には星5つですが、ご新規さんがこれを読んでも星3つぐらいかも知れません・・・。
既にサンデー時代の単行本を持っている私には不要ですが、再販しても良いのでは?
その方が、今作をもっと楽しく読めると思います。
咎狩 白 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
素晴らしい。それしかいいようがないです。闇の中にまたたくかよわい光、それが命。この作者は生と死、そして光と闇に真正面から向き合って、ついに描ききったと思います。画力も圧倒的に向上し、迫力ある絵を存分に堪能することができました。中断していた年月は、作者を成長させるためには必要だったのかもしれません。中断したことがかえってよかったとすら思います。とにかく、完結させてくださってありがとう、としか言いようがありません。中途半端な結末にはならないと思いましたが、こんなに感動的に終わるとは思いませんでした。本当にありがとう!
先生、これからもがんばって!読者はみんな応援してますよ!!