CRIME OF LOVE/ いいんだぜ~君がいてくれれば~
哀愁を帯びた旋律(メロディー)が、ラテンのリズムに乗って奏でられます。
ダンサブルなのにせつなさが込み上げてくる、素晴らしい名曲です。
初めて聞いた時、イントロから歌の終わりまで、スピーカーの前から離れる事が出来ませんでした。衝撃が走る位に素敵なメロディーです。
サスペンスドラマの主題歌と言うことで、スリリングなアレンジもちりばめられています。
藤木さんの事はこれまでいろいろなドラマで見かけていて知ってはいましたが、自分は男性ですので、いわゆるイケメンと言われる彼の事は興味ありませんでした。
でも、この1曲で、彼の大ファンになりました!
トーク番組でも先日拝見しましたが、とても純粋な方でした。穢れの無い瞳をした彼みたいな人がサスペンスドラマで主役(犯人役?!)をしても大丈夫か?!と思いましたが、素晴らしい演技で、主題歌と共にドラマにも引き込まれました。
CDですが、こちらのDVD付きのバージョンは、CDのみよりも数百円の違いだけなので、この映像付きをお勧めしたいです。
Video Clipは、とても洗練された映像で、演出家のセンスの良さが感じられます。ドラマで美容師を演じてるからか、美容師を思わせる様な藤木さんの姿も見られます。
俳優としての活躍も楽しみですが、これからは歌手としても、この歌の様な素敵な名曲を歌ってほしいです。
寝ずの番 特別番 [DVD]
マキノ雅彦第1回監督作品。マキノ雅彦とは、“日本映画の父”牧野省三(マキノ省三)を祖父に、生涯に261本の映画を監督したマキノ雅弘を叔父に持つ俳優、津川雅彦のこと。
原作は一昨年に亡くなった中島らもの同名小説。
監督の実兄である長門裕之が、上方落語の重鎮、笑満亭橋鶴役で出演している。
その橋鶴が、危篤状態になるところから物語が始まる。
弟子達は、師匠の最後の望みを叶えてあげようとするが、あろうことか、その最後の願いを聞き間違えたことから、ひと騒動が持ち上がる。
でもその後が本番。師匠が亡くなり、通夜が執り行われる。一晩中、寝ないで死体の番をする、それが『寝ずの番』らしい。
橋鶴のかみさんである志津子ねえさん(富司純子)と息子でやはり落語家の橋弥(岸辺一徳)、弟子の橋次(笹野高史)、橋太(中井貴一)とその女房(木村佳乃)、橋枝(木下ほうか)、橋七(田中章)とその女房(真由子(津川雅彦の娘))、落語作家(石田太郎)、よくわからない親戚の一般人(蛭子能収)らが、酒を飲みながら、師匠の思い出話に花を咲かせる。
最初の聞き間違いからして、この思い出話ももちろん、全編もう下ネタのオン・パレード。ビジュアル的にはエッチなシーンはないけれど、テレビでは放映できないんじゃないかしら。放送禁止用語の『ピー、ピー』ばっかりで、意味がわからなくなるでしょう。だからテレビでは観られないかも知れません。
で、一つひとつの思い出話が、おもしろい。流石上方の落語家。生活全てが落語的。話す方も落語家(もちろん本当は俳優だけど)だから、全ての話にオチがある。気持ちいい。僕も関西育ちなので、オチがない話は嫌いだ。
寝ずの番は1回で終わりではない。その後も2回、都合3回、寝ずの番が繰り返される。
そして、話すほどに、エスカレートしていく思い出話に歌に踊り。
よく画面を見ていると、いや、それほどよく見ていなくても、変なことが起きている。どれもこれも笑いの連続。
笑って楽しむエンターテイメント作品です。自分もこういう通夜に同席したい。自分の通夜は遠慮したいが……。
今夜、すベてのバーで (講談社文庫)
他に似た話がほとんどないであろう自伝的アル中闘病小説。病気自慢みたいな話が嫌いな僕でも楽しく読むことができました。
冷静に見ればこれはフィクションだろうと思う部分もあるんだけど、主人公が著者そのまんまのキャラなせいか、潜入ルポみたいで妙にリアル。怖いもの見たさで一気に読める。
たまにぞっとするような人が出てきたりするけど、不快感はあんまりない。入院中も自分の体におきた変化を楽しみ、平気で生きる主人公の生き様はむしろ爽快。読み終わったら、少々の体の不調なんかどうでもいいじゃないかと思えてくる。
あと、これを読むと食事の仕方がちょっと変わった。まず、酒がまるで「禁断の果実」みたいに描かれてるから、少量の酒を味わって飲むようになる。
そして意外にも、読んで食事がしたくなった。治療をすすめていった主人公が何年かぶりに食欲を感じてごはんを食べる場面があるんだけど、この人が実にうまそうにメシを食う! 普通にごはんをお腹いっぱい食べられる幸せに感謝しつつ、どんぶり系のメシをがつがつ食いたい。逆にこれを読んで酒やクスリをやりたくなったという人はほとんどいないでしょう。
それにしても、らもさんはあの死に方で正しかったんだなあ。酔って階段で転んで死亡って、それ以上この人に似合う死に方が思いつかない。
もし病気になって苦しんだ末に死んだりしてたら、
「マジメに生きないといつかはこのように悲惨な最期を迎えるのですよ」という悪い見本みたいな形で後世に語り継がれそうな気がする。
ただ、死に方は間違ってなくても、少し早すぎたけどね。
僕に踏まれた町と僕が踏まれた町 (集英社文庫)
この本の内容を初めて知ったのは、当時私が中学生の時だった。
進学塾に通っていた私は「国語の問題文」として、これを読んだのだ。
正直な感想として、とても面白かったのだが、それ以上に
著者が体験した、東大進学率No.1である灘高の優等生から落第生への転落、
そしてその後の浪人体験についての内容を読んでいると、
当時高校受験を控えていた私は、
何とも言えない空しさ、切なさを覚えてしまった。
そして、それを機にただ漠然と考えていてた
「将来」というものについて真剣に考えるようになったのだ。
著者の実体験を元にした話には、誰もが思春期に持っていた、
希望、不安、葛藤、バカ話などがふんだんに盛り込まれている。
大人には懐かしく、自分自身の思春期が思い出されて
何処か心が疼くような内容であるが、
いま、思春期を生きている中高生にも是非とも読んでもらいたい作品である。
寝ずの番 [DVD]
笑満亭一門の師匠が亡くなり、弟子や遺族が通夜で寝ずの番をしつつ思い出話に盛り上がるストーリー。初っ端から下ネタが満載ですが、いやらしさがないのがこの作品の凄いところ。さすがしゃべることを職業とする落語家達の話だけあって盛り上がる、盛り上がる!亡くなる師匠達がいかに愛されていたかがわかり心にジンときます。伊丹十三監督の「お葬式」もそうですが、日本の文化、風習の一場面を切り出し、人情味あふれる作品に仕上げるところは、着眼点の良さ、センスの良さを感じさせられます。痛ましい事件が多く、他人を信じられなくなりつつある現代だからこそ人間と人間の繋がりを感じさせる心に効く作品は大切だと思います。下ネタに抵抗がある人もこの作品の温かさに触れれば自然と笑みがこぼれてくる秀作です。