ブンデスの星、ふたたび (ホペイロ坂上の事件簿 J1篇 ) (創元推理文庫)
架空のプロサッカーチーム・相模原ビッグカイトの用具係(ホペイロ)である坂上くんが活躍する日常の謎系シリーズの第3弾。チームはJFL、J2と順当にレベルを上げてきて、本作では何とJ1で活躍中である。
第1弾、第2弾と読んできていて、提示される謎がだんだんサッカーと関係なくなっている気がするが、まあそれはOKか。登場人物群は、基本的に従来の踏襲だが、第2弾で存在感を示していた女社長は今回完全に脇役。代わりに、坂上くんの部下として雇われた若者がいい味を出している。一方で、第1弾で前面に出ていた(ような気がする)相模原ローカルな周辺描写は、今回はちょっと絞りぎみ。この辺はちょっとさびしい。
シリーズものとしては一旦終了とのことだが、まぁなんにせよ、ほぼサッカーネタだけでここまで引っ張ったのはなかなか素晴らしいともいえるかな。
「先生はダミー」IN A BOX(インナボックス)
作品紹介を見て、キャストに子安さんの名前を拝見して購入しなければ!と思い購入しました。
原作は未読だったのですが、簡単な作品紹介を読んでお話としても面白そうだな・・・。と思っていたので。
メインとしては、井上さん演じる「柚木さん」と、近藤さん演じる「桐野さん」が主なストーリーの流れでその廻りを取り巻く3人の個性豊かなキャラクターといった
感じなのですが、私的には、子安さん演じる「笹山さん」があまりに素晴らしく(普段の口調からキレた際の演技の迫力が凄まじく良かったです♪)、聴いていて身震いしてしまいました。
子安さんの出演されているCDには「外れだったな・・・。」と感じた作品がこれまでも無かったのですが(作品としてはイマイチでも子安さんの演技力に助けられているな・・・。という作品も多々ありますが・・・。)今回のこのCDの子安さんの迫力には本当に圧巻させられてしまいました。
改めて、子安さんの演技力の幅広さを実感させて頂けた素晴らしいCDでした。
井上さんが演じていました「柚木さん」というキャラクターもいつもの井上さんのイメージとは違ったポヨヨンとした何だかオドけた可愛らしい印象を受けて(正直、聴く前はキャストミス的な
イメージを持ってしまうのではないか・・・と感じていたのですが)良かったです。
あと、今回楽しみにしていたのは最近 個人的にプッシュな近藤さんの演技でした。
癖のある独特な声質に何だかハマってしまい今回のこのCDでも絶妙なトーンヴォイスでキャラとしても近藤さんのイメージにとても合っていたと思います。
日野さんのお軽い感じの演技、そして山崎さんの飄々とした何とも掴み所の無いキャラクターもとても良かったです。
全体として、BL作品ではあるのですが最近のものでは珍しく絡みもなく作風としてもコメディータッチなとっても楽しく聴けるCDで大満足の1枚でした。
初回生産の方を購入したので、本編CDの他にアフレコ台本と、原作同人縮刷版(どういった原案の作品なのかを触れる事が出来、キャラのイメージが掴めて本編CDを楽しむことが出来ました。)
主要キャスト5人のテーマトークCD付と素晴らしい内容で文句なしの☆5つです。
是非、初回生産CDの方で本編と併せて楽しいテーマトークも聴いて欲しい1枚です。
(子安さんのテーマトークでのテンションの高さ(楽しそう)と、子安さんと井上さんの褒め殺しトーク?を大爆笑しながら聴いて頂きたいです。)
T.R.Y. (角川文庫)
明治末期の中国というあまり馴染みのない舞台設定ながら、見事に
世界に引き込まれました。
悪者(と言って差し支えないと思いますが)を詐欺にかけるという
普遍的な魅力を持つテーマを、綿密な取材と圧倒的筆力で書ききれ
ば面白くないはずがありません。
キャラもそれぞれ魅力的でよく立っていますし、軍を絡めることに
よって硬くなりがちな話を、適度なユーモアでほぐしているあたり
も非常にうまいです。
かなり複雑なプロットを組んでいますが、このページ数でこの物語
をまとめた構成力もかなりのもので、デビュー作とはちょっと信じ
られません。これなら賞を取るのも当然でしょう。実際、二段組や
上下巻の作品を読んだような満足感がありました。
若干、登場人物が多いのと中国人の人名を憶えにくい(これはやむ
無し)という難を感じましたが、それを差し引いてもかなりの秀作
でした。
ちなみに、当初のタイトルは「化して荒波」だったそうですが、
読み終わってみれば、どちらもしっくりこない気が少しだけ。。。
キャピタルダンス (角川文庫)
井上尚登の作品は読んでいて映像が目に浮かぶ。
長くて、しかもテーマも奥深いのに、そして舞台が世界規模なのにイメージが頭の中に広がる。
初めての女性主人公ものでいつも以上にワクワクしながら読み進んだ。
最近世間を騒がせたIT会社のことが頭に浮かぶがこれが書かれたのは
それよりもずいぶん前のこと。
目の付け所がすごいな、と感心。
意外な結末にも驚きだ。