オールド・タイム・レイディ
既にレビュー名人の方々の熱い言葉があるので、
あっしはメチャ軽でサラッと。
73年、時代がクロスオーバーに向かう直前。
最も音楽に可能性を感じたあの時代の音がここにあります。
ルーツ臭さと洗練の同居。
その微妙なバランス感覚がこのアルバムの魅力の一つでもあります。
基本はあくまでルーツミュージックなんですが、
ふと小洒落た(2)や(8)がある辺りがたまらないのです。
一番の良さはもちろん彼女のヴォーカルです。
オールド・タイム・レディ
オールド・タイミー・ミュージックを、腕利きのミュージシャンたちをバックに、時におしゃれに、時に官能的に、時に余裕を見せて歌うマリア・マルダーの傑作アルバム。などと言葉で説明するより聴いた方が早い。それぐらい文句なく素敵。
眠りが浅い僕は、寝る前にこのアルバムか、ジョニ・ミッチェルの「ブルー」を聴くとおだやかに、深く眠りに落ちることができる。精神的リラックスをもたらしてくれる一枚です。
Maria Muldaur
2をリアルタイムで聞いていて、名前だけは知っててんですが、ポール・バタフィールドのベター・デイズあたりを探っているうちに、このアルバムに行き着きました。いわゆる骨太なボーカルではありませんが、聞き込めば聞き込むほどに味わいが出てきます。アルバムの中でも最高傑作はもちろんヒットした2。特にここの間奏で聞けるエイモス・ギャレットのギターソロは、彼の生涯の中でも、ベストプレーのひとつに入るのではないでしょうか。これだけでも購入価値が十分あります。こんな素敵なアルバムが'74年に発表されたという事実もすごいですね。アメリカンミュージックの懐の深さを痛感できるアルバム。この周辺の音楽を探っていけば、もっともっと名盤にたどり着けるはず。派手さはありませんが、いつまでも生きながらえて欲しい音楽です。
マリア・マルダー~ライヴ・イン・コンサート [DVD]
ジャケのマリアの顔は縦横比が多少歪んでいる。DVDに登場するマリアの姿は、ディランのDVD「ノー・ディレクション・ホーム」でインタビューを受けたときと同じだ。若き日と比べて太り、声がしゃがれたことは事実だが。
DVDで、元気な彼女の姿を確認できるのは嬉しい。ラストの曲ではフィドルの演奏まで披露する。
場所はサンフランシスコ近郊の劇場らしいが、ライヴの年月日は「ハート・オブ・マイン」発表と同時期だろうとしかわからない。その「ハート・オブ・マイン」はディランのラヴ・ソング12曲をカヴァーする好企画だったが、このステージはその全曲を同じ曲順・ほとんど同じアレンジで再現する。それに懐かしのヒット曲「真夜中のオアシス」とJ.J.ケールのM8、ベッシー・スミスへのトリビュート・ソングM12(CDにのみ収録)の3曲を付加したのがセット・リストの全部。くつろいだ雰囲気をDTSサラウンドで堪能できる。
ただ、DVDに日本語字幕はなく、歌詞カードもない。日本語資料はあるが、曲間の楽しいおしゃべりや特典インタビューの内容が完璧にはわからないのが残念。