情事の終わり
と、いう印象だったが実は結構名は売れている連中のようだ。新しい時代の若者からはハードバップ奏者はイイのは出ないだろうと長い間思って古いLPだけ聴いていたボクはこのアルバムを聴いて愕然とした。Jazzはほとんど死んでしまったアメリカと思っていたがこのCDはそういうボクを青春時代に引きずり戻した。そして嬉しいサウンドを聴かせるこのアルバムは日本の企画のようだがヴィーナスレコードという会社はジャケットデザインを60年代ヌーベルバーグのフランス映画のような雰囲気を出していて、もしかしたら若い世代のアイデアかも・・と思ってしまうほどクサく統一されている。モロにバップでモーダルなクールさまではいかないがもうすぐモードやるぜ、といった発展性が感じられる。しかしこの状態のバップが一番いいんだよな。ボントロ(tb)もペット(tp)もイカすねぇ。ここ10年では一番いいアルバムかも・・。
危険な情事 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
彼(ダン)にとっては遊びでしかなったが、不倫相手の女性(アレックス)はそうではなかった。もうすでに、ダンにしか目に入らなくなっていく。ずばり当てはまる言葉がある。「恋は盲目」そこから、この女性の行動はストーカーと化し、ダンの家に乗り込んでから、どんどんエスカレートしていく。これ以上はネタばれになるので書きません。
「嫉妬」という二文字では語れず、それが執(情)念となって「憎悪」に変わり「殺意」から「殺人」にまで発展する。また当てはまる言葉がある。「愛と憎しみは紙一重」
後味の悪い映画だ。だから人には薦められない映画である。妻あるいは彼女と一緒に見るか、それとも妻子持ちの男性一人で見るか、浮気防止には最適な映画かもしれない。私にはホラー映画にしかみえなかったが。
「危険な関係」オリジナル・サウンドトラック
1959年アート・ブレイキーがシネ・ジャズに取り組んだサウンド・トラック盤。当時人気絶頂のジェラール・フィリップ演じるデカダンス的雰囲気を持ったヌーベル・バーグ映画「危険な関係」(1960)の中で、何度も耳にしたメロディーだ。フランス映画がこれほどモダン・ジャズと相性がいいとは誰もが思わなかったであろう。これに先立つ、マイルス・デイビスの「死刑台のエレベーター」でも、パリのしゃれた粋な雰囲気の中で、モダン・ジャズがゾクっとするほど似合っていた。映像の中では、確かブレイキーやリー・モーガンは登場せずアテレコ的にケニー・ドーハムらが登場し、演奏の映像と音楽が扱われやや興ざめだったが、レイジーな雰囲気の標題曲をはじめ、モダン・ジャズの粋を感じさせるスリリングな演奏である。危険な関係のブルース、危険な関係のサンバ、プレリュード・イン・ブルーなど哀愁を帯びた楽想は映画ファン層にモダン・ジャズを浸透させる貢献を大いに果たしたものと思われる。御大ブレイキー、さらにモーガンやティモンズのいつもながらのソウルフルなプレイは見事だが、ここでは当時弱冠22歳のバルネ・ヴィランのテナー・サックスも健闘していて、傑作の誕生に一役買っている。ヴィランは「死刑台のエレベーター」でもマイルスと競演し、当時のパリの若手のエースだった。スタン・ゲッツ的なメロディアスなフレーズで粋に吹きまくる彼の存在は、シネ・ジャズのもう一つの華でもあったといえよう。
密やかに熟れる花 (アクションコミックス)
正直なところ、ややユルいタッチで描かれた表紙カバーを見た時は少しばかりの不安を覚えたが、中身はいつもの艶々ワールドだった。不仲ながらも夫のある熟女人妻が、悶々とした悩ましい憂いを湛えつつ若い男に溺れていく物語である。今回は相姦でなく不倫ということである。本巻の全9話で完結するのは少し物足りないような、勿体ないような気もするが、話としてはコンパクトに上手く纏まっていると思う。
「溺れていく」と言っても、ただ肉欲の快楽を貪るだけの堕落した女ではなく、楚々とした風情ながらも別居中ゆえに満たされなかった空閨を心と共に満たそうとする愛情がきちんと描かれた内容となっている。片田舎らしいムラ社会的な要素を織り交ぜ、不貞を働いた男女の行く末を描きながらも、これを単に悲劇とせず、むしろ諸々のしがらみから解放され、全てを失ってもなお補って余りある最愛の人との自由を享受する形で結んでいるところは良かった。中盤から出てくる夫のダメ男っぷりが場合によっては多少の嫌悪を生み、これを解決する主人公の策も含めて若干後味の宜しくない部分もあるのだが、それでも最後は「良かったね」と言える纏め方だったと思う。『はだかのくすりゆび』(ニチブンコミックス)と同様に妻の独白を多用して心の移ろいを上手に盛り込んでいた。
さて、艶々作品なので非常にツボを突いてくる寝取られ描写が今回も描かれている。主人公と夫の双方が寝取り、寝取られる嫉妬の応酬が見られ、官能シーンをより艶っぽいものにしている。キッチンや息子のいるすぐ隣(これもキッチン)、そして車内といった抜群のシチュエーションで悩ましくも淫猥な描写が連続しており、許されぬ関係、もしくは既に終わっていながら未練たらしく強要されるのを拒み切れない関係が、シンプルなストーリーを淫らに飾っている。描写そのものはさほど激しいものでもないが、妻のキャラが極めてフツーに設定されていることが却って興奮を誘っている。ファン故の贔屓目かもしれないが、ドラマ性を重視し、織り成す男女の関係性の上に抑え切れない官能を乗せるような、言うなれば敢えて一歩引くことで逆に深みのある内容を際立たせる描き方に魅力を感じた作品である。