After Hours
40年代初頭のビバップ誕生期の貴重な記録として名高い作品で、当時の興奮が伝わってくるような熱気に満ちている。「ミントンハウス」におけるジャムセッションを簡易録音機で録音したそうだが、奥行きに欠けるのは致し方ないとしても70年も昔にしては十分にクリアな音質と言って良い。そして、スイング王と呼ばれたベニー・グッドマンの下で活動していたチャーリー・クリスチャンが、ジャズの変革期に残した最大の成果を捉えたものとしてもおおいに価値がある。とりわけ"Swing To Bop"で聴かれるようなクリスチャンのソロの流麗さは当時としてはかなり斬新だったのではないかと思える。逆にいうと、クリスチャンの参加していない曲"Stardust"、"Kerouac"などはスイング色が濃いが、そのことがかえって当時の混沌としたジャズを今に伝えるようで面白い。なお、他の方のレビューにも書かれていることだが、オリジナル・ジャケットの色(黒とピンク)が逆になっているのは確かに歓心しない。CDの時代のデメリットかもしれないが、こうしたことがままおこるのはちょっと悲しい。
ポートレイト・イン・ジャズ 和田誠・村上春樹セレクション
元々がジャズが出発点の村上春樹が和田誠とコンビを組んで作ったジャズ・エッセイのCD化。
ビリー・ホリディのコロンビア盤の『君微笑めば』で始まる。彼女の歌う『あなたが微笑めば、世界そのものが微笑む(When you are smiling, the whole world smiles with you.)』は、『癒し』を越えて『赦し』の声だ。もう『癒し』では間に合わない『赦し』を求める傷だらけの日常にしみる。
チェット・ベイカーが入っていないのが僕には不思議残念だ(●^o^●)。このCDを聴きながら、このエッセイを読む。至福の瞬間である。だから村上春樹はステキなのだ。
ザ・オリジナル・ギター・ヒーロー
チャーリークリスチャンはジャズギターの世界でブルースにおけるロバートジョンソンのようなジャズギターの元祖です。
このCDで重要な曲は網羅されてます。ギターを弾かない人にも聞きやすい音楽なのでお勧めです。