江戸の性風俗 (講談社現代新書)
前作『武士道とエロス』に続く徳川時代から明治期にかけての日本人の性愛観の変遷を記した極めて興味深い書物です。
とりわけ男女両色のバランスの変化が見事に描かれていて面白い本と申せましょう。つまり、徳川時代の前半までは男同士の「恋」のみが我が国における唯一の恋愛であったのに、衆道の衰退によって武士の世界から「恋の拠り所」が奪われてしまった事実など、読んでいてたいそう参考になる作品です。文章も読みやすく優れて流麗な筆致で記されています。
近年、タイモン・スクリーチの『春画』や葉文館出版の『江戸の色道』など日本の性風俗を客観的に述べた書物が次々に上梓されているのは極めて好ましい傾向かと存じます。貧しく偏狭な性愛観しか持たなかったヨーロッパ世界とは異なり、男色・女色のいずれにも偏らずに生きた我々の祖先たちの豊かな性生活の奥行きの深さを教えられたような気が致します。是非どなたにも一読をお奨めします。
コーエー定番シリーズ 維新の嵐
“維新の嵐”はその名の通り、日本幕末期の志しある一人の若者(中年)として日本の各地を駆け巡るゲームです。自分が選ぶ主人公(坂本竜馬や土方歳三、松平春嶽、井伊直スケなどなど)によって思想(倒幕・勤皇・攘夷)を広め、平和的に日本の夜明けをみることが目的です。ですが、表題にもあるように、旅の途中刺客に狙われ一騎打ちのような場面もあれば、プレイヤーの思想を変えてしまうような舌戦的な場面にも出くわします。同社三國志の10をプレイした方ならなんとなくでも理解してもらえるかもしれません。基本的に大袈裟な“戦(いくさ)”は無いに等しいですが、竜馬のような郷士(低い身分のサムライ、下士)でもお偉方(島津久光クラス)と親睦を深めれば、○○軍の出動要請だってありえます。その状況は結構最悪で、相手を説き伏せなかった結果ですからなるべく脅しで利用し、それでもダメな場合はもう開戦しかありません。京都御所方面に兵を差し向ける!なんてのもカッコイイかもしれませんが。途中にも書きましたが、暗殺の魔の手がのびてせっかくの同志が死んだり、自分も含めていつしか違う思想になっていたりするので注意が必要です。勿論、歴史イベントもあるので日本初の株式会社“亀山社中”や“海沿隊”なんてのもつくれますよ。全体的に同じことの繰り返し、今で言う作業感があるかもしれませんが、当時の歴史上の人物や時代の流れを知る上では大変忠実に再現されていますので貴重な参考資料となるのは間違いないです。ハイ。
逃走中13~run for money~【明治維新編】 [DVD]
物語の設定としては、忍者の里の次くらいに好きかも。 でも、最後のミッションで、もっさんが、藤本さんを無視しての大爆走劇にはちょっとだけ引いた。 ジャストミート明のわざとくさい演技は笑えるから良かった。
人生に悩んだら「日本史」に聞こう 幸せの種は歴史の中にある
過去に色々な本を読みましたが、このような視点から
書かれた本とは初めて出会いました。
本には色々なエピソードが書かれていますが、
全てが自然に心に入ってきます。
もしかしたら、自分の先祖かも知れない人々の、
『生きざま!』が書かれています。
私は、この本は日本人として読んでおく必要があると
思っています。また、トルコやポーランドとの歴史的な
出来事については、日本人も知っておくべきです!
是非、小学校の授業にでも採用して頂きたい一冊です。
歴史上に名を残せていない、素晴らしい日本人が沢山います。
その一部がこの本に書かれていますので、是非とも読んで
頂ければ思います。
日頃本を読まない私が、数時間で読めた本です!
日本の1/2革命 (集英社新書)
日本史に「革命」はない。大化の「改新」や建武の「新政」、明治「維新」、GHQ「改革」はあっても、「革命」は起きなかった。最も革命のイメージに近い明治維新ですら、徳川幕藩体制から王政復古へと統治主体が一変したにも関わらず、「革命」と呼ぶには少々憚られる。その辺りの日本的な“不徹底性”を、フランス革命と対比して論じようと言うのが本書の趣旨である。対談するのは今を時めく解説上手の池上彰と、長編「フランス革命」を執筆中の直木賞作家・佐藤賢一。
日本史上の改革的な出来事は悉くフランス革命の“半分”で終焉した、というのが佐藤の持論。例えばフランス革命では王政を廃止して共和制を樹立した後、さらに王を処刑したが、明治維新では将軍は殺されずに済んだ。GHQ改革でも天皇は助命され、六十年代の安保反対デモや学生運動でも政権が覆る迄には全く至らなかった。いずれも革命と呼ぶには中途半端だ。
では民主党が政権を奪った今の日本はどうか。「どうせ何も変わらないさ」と思い続けて来た戦後の日本人にとって、「やればできる」という初めての経験であり、一種の革命に近い状況ではある。しかしいざ政権が替わったものの、既に国民の中には失望感が広がり、まさしく中途半端な状態だ。折しもその状況下で日本を襲った未曾有の大震災。世の中はどうなるのか、今の革命らしき動きが、この天変地異によって次の段階へ進むのか。本書に結論はないが、今の時勢を俯瞰する一つの視点が与えられた気はする。