Symphony 5 Op 87 / Prelude to Celebration of Birds
5番は、その番号が示す「運命」のモチーフを用いた45分に及ぶ大作。プログレッシブロックの乗りの1,4楽章、時々挟まれる静かな部分が相変わらず美しい。奇怪なスケルツオの2楽章(でもショスタコヴィッチの暗さはない)。中間部に宮崎駿のアニメのメルヘン音楽のような部分が挟まる3楽章。全体に冗長と感じさせないのはさすがである。
アトムハーツクラブは、ビートルズ発生の地、さすがイギリスのオーケストラ乗りがよい。最終楽章の鉄腕アトムの旋律の引用には笑ってしまった。鳥たちの祝典への前奏曲(とでも訳すのか)は10分に及ぶ華麗な名品、ぜひいろいろなところでやってほしい、と思う。
Yoshimatsu: Piano Concerto
今の時代にこんな清らかで美しい曲を書いていていいのか。といつも吉松隆の音楽を聴くたびに思う。本人の写真がでてくると、むさくるしいおっさんなので(失礼!)そのギャップにもう一度おどろく。ピアノ協奏曲はモーツアルトの最期のピアノ協奏曲27番の編成を頭において作曲されたそうで、その清澄さの雰囲気を受け継ぐ。モーツアルトと比較してどうかというのはやめよう。今の時代に平然とこんな清らかで美しい音楽を書いて平然としている、作曲者の精神の強さに驚く。そしてそれが陳腐な映画音楽的なものに落ちないところに、すごさがある。
このシャンドスのシリーズはイギリスでの評はいまいちであった。自国の作曲家だったらハリウッド音楽の亜流でもほめるのに。ぜひ続けて出してほしいと思う。
Symphony 3 / Saxophone Concerto
歴史上最強のサキソフォン・コンチェルト!! 光の渦の中で華麗に舞い、灼熱の炎の中で絶叫し、星屑の中で美しく泣く。サックスの魅力の全てを須川マジックで堪能できます。交響曲第3番の炎を吹き上げ光を撒き散らしながら爆走するオーケストラも最高にカッコイイです。やっぱり交響曲はこうでなくちゃ。吉松作品集でも白眉の一枚。