「自分の人生、これでいいのか」と思ったとき
40代、50代の人間が陥る「ミッドライフクライシス」という漠然とした「危機感状態」への対応方法を豊富な例を挙げながら展開している。
高齢の割には非常に柔軟な思考をしている。女性にも役立つエピソードが多い。
日本脱出記 (ペーパーバック版)
大杉栄の絶筆とされる書。ベルリンで開催された国際無政府主義大会へ出席するため、上海経由でパリに到着、そこで足止めをくらい、メーデーで演説をして逮捕および禁固されるなどして、結局日本に送還されるまでの顛末。享年38。いまのホリエモンと同い年。そしてチェ・ゲバラは享年39。だから何というわけでもないが、この年代で社会にただならぬ影響力を及ぼす男はどの時代においてもどの国においても危険視されるものなのだろう。アナキスト・大杉栄の思想については本書を読んでもほとんどわからないが、そのコスモポリタンぶり、プレイボーイぶりが軽快な筆致の文章から伝わってくる。パスポートを偽造し、偽名を使って当局の目をくらまし、どこからともなく金を工面して踊り子とよろしくやったりして、監獄に入ったら入ったで酒をおぼえたり、壁の落書きに関心したりしている様子は痛快ですらある。アナキストは好奇心と楽観主義の人でもあった。外国語が下手で奥手で生真面目、という典型的日本人のイメージにはまったくあてはまらない。たとえばこんなことを書いている。
「うちからか、パリからか、どっちかから金の来しだい、一つ逃げだしてやろうか。そしてこんどは、まったくの不合法で、勝手にとびまわってやろうか。パリへも帰ろう。ドイツへも行こう。イタリアへも行こう。そのほか、行けるだけ行ってみよう」
文章ものびのびしていていま読んでもまったく古さを感じさせない。大杉はドイツへ行ったあかつきにはイタリア経由で帰ろうと、ドイツ語のほかにイタリア語も勉強していたという。すでにパリでは女を口説き、裁判長とわたりあうほどフランス語に習熟していた。有名な「一犯一語主義」には、彼の語学に対する並々ならぬ意気込みが表れている。これだけ語学に通じていたからこそヨーロッパを中心に世界中にちらばる同志たちとつながって「運動」の中心となることができた。もし大杉栄が戦後に生まれていたら、ネットで世界が彼の生きた頃よりもっと密につながる時代に生まれていたら、どんな仕事をしだたろうか。
この旅で目的を達することなく帰国して2カ月ののちに関東大震災がおこり、大杉は憲兵大尉甘粕正彦によって惨殺された。
華の乱 [DVD]
大正時代の有名人総出演という豪華なお話です。
与謝野晶子を中心に夫の鉄幹、松井須磨子、大杉栄とその妻野枝、そして有島武郎。
吉永小百合さんの晶子は美しくも強い女にして母親です。
夢を追う周囲の人間の中ただ一人生活との現実に戦っていた彼女は
震災後の世界に夫と子供達と共に廃墟の中の東京を駆けていきます。
大正という夢の時代に関わった人々の思い出を閉じ込めながら。
不良青年のようでいて繊細な有島武郎=松田優作もカッコイイです。
失うもののない緒形拳=鉄幹のラストに見せた逞しさもイカシます。
そしてこの二人の間を揺れ動く晶子さんはマリアさまの様に聖母で
そして血の通った女でとても魅力的です。
時にはぐうたらな夫を怒鳴りつけテキパキと家事をこなす戦う兼業主婦文化人!!
こんなヒロインは映画史上珍しいです。是非観てください!!
一房の葡萄 他四篇 (岩波文庫)
この本は、有島武郎の紡いだ童話集である。
子供用の書物、童話というスタイルをとっていながら、内容には必ず冷ややかな現実が差し込んでくる……そのストイックな手法は、イギリスが誇る天才童話作家、オスカー・ワイルドを髣髴とさせるほど。
大学生である私も、思わず涙ぐんでしまいました。
一房の葡萄 (280円文庫)
「一房の葡萄」は人間なら誰しもが持つ自分の中の“悪”をしっかりと捕らえる物語です。悪いことと知りつつも衝動的に盗んでしまう子どもの心を描写しています。この真理を自分の中にもあることしっかり見つめてほしいと著者は思っていたのではないかと思いました。
この、人の中にある“悪”は、子どもの中にあるだけではないはずです。大人にもあるもので、大人にも訓示的なものであると思います。また、子どもが、悪いと分かりつつもやってしまったことに対して、大人がどのように対応するのが良いのかも示されています。
この童話は、子どものためのものだけでなく、大人のためのものでもあると感じました。