風林火山 [DVD]
この映画は、主演・山本勘助に三船敏郎、武田信玄に中村錦之介(後の萬屋金之助)、上杉謙信に石原裕次郎・・・という、当時の日本映画界を代表するそうそうたる三人が顔を揃えた大作でした。
中でも、主役の三船敏郎の最期のシーンは、何度見ても感涙にむせびますが、特筆すべきは、やはり、その大俳優というものの存在感・・・。
三船敏郎の山本勘助は、普通、あそこまでとんとん拍子にうまく行くはずもないのに、その挙措のすべてにある重厚さで、それが、うまく行くことに、いささかも非現実性を感じさせない。
一方で、中村錦之介扮する武田信玄もまた、その存在感は誰も不平を言えないほどに、家中を圧倒していることに対しても、何の違和感も感じない・・・。
しかし、それよりも、私が特に印象に残っているのが、セリフは一切無い石原裕次郎の上杉謙信でした。
石原裕次郎扮する上杉謙信が、川を挟んで、武田軍と対峙したとき、馬を駆って行軍中に、川向こうの武田方を睨むシーンがあったのですが、見るからに映画俳優・・・って感じのやさおとこの美男子とは違う、その男臭さに、思わず、「本当の上杉謙信という人は、きっと、こういう人だったんだろうな」と鳥肌が立ったことを覚えています。
その意味では、やはり、役者の粒の大きさが、これほどまでに映画を成り立たしめるものなのかと思った逸品でした。
風林火山 (英文版) - The Samurai Banner of Furin Kazan
『戦国の乱世、最強といわれた甲州武田軍。「風林火山」のもと天下統一を目指す武田軍の中心には、孤高にして天才的な軍師・山本勘助がいた。夢半ばにして歴史から過ぎ去っていった人々の果敢な後ろ姿を、華麗な筆致で描いた井上文学の金字塔。2007年NHK大河ドラマの原作。』
チャールズ・イー・タトル出版による内容のご紹介。
訳者 Yoko Riley による翻訳。『風林火山』の英文翻訳を読みたい方はぜひともおすすめ。
伊豆の踊り子、他 (英文版) ― The Izu Dancer (タトルクラシックス )
The narrator of the story is a nineteen-year-old student traveling alone through the Izu Peninsula. When he is climbing toward Amagi Pass, he meets a troupe of itinerant performers and gets attracted to the young dancer who plays the drum. He wonders if she will spend the night in his room, but when he happens to see her run out naked into the sun at the outdoor public bath, he realizes that she is a mere child -- too young for lovemaking. Feeling as though a layer of dust has been cleared from his head, he happily accompanies the troupe to Shimoda, where he says good-by to the little dancer and takes a ship to go back to Tokyo. Aboard the ship, he silently weeps, but quite unashamed of his tears. Full of romanticism, this is perhaps Nobel laureate Kawabata’s most popular novella.
夏草冬涛 (上) (新潮文庫)
沼津中に進学した洪作の楽しき学校生活。4年生で出来た友達、藤尾、木場、金枝、餅田の4人と洪作が最後の伊豆旅行のシーンで交し合う言葉達がなんとも躍動感に溢れている。読むたびに元気づけられ、そして新しい発見がある。この小説を読んだ大人達に少年時代のあの楽しかった毎日をぜひ思い出して欲しい。