車椅子バスケのJリーガー―4度目のパラリンピック日本代表選手を目指して
jリーグで将来を有望視されながら、自動車事故で選手生命を絶たれた京谷さん
彼がどれほど絶望的な気分を味わったかと思うと、胸が痛みます
この本は彼がいかに絶望から立ち直ったか、奥様や周りの人たちの献身的な支えでどれほど彼が勇気付けられたか等、
人間が生きてゆくうえで欠かせない人とのつながりの大切さ、感謝の気持ちを持つことの大切さを教えてくれます
しかし彼をこんな目にあわせた人物(わき道から突然飛び出してきた車に乗っていた人物)は許せませんね
そのような乱暴な運転をする人物は神の裁きを受けるでしょう
立花隆先生、かなりヘンですよ―「教養のない東大生」からの挑戦状
立花隆氏の著作(主に2000年前後のもの)に含まれる明白な事実誤認、誠実さも論理性もない主張、救いようの無い傲慢さを適切に引用しながら丁寧に行儀よく解説した本である。前半の主題である立花氏の科学がらみの著作のダメっぷりの説明は非常に良く書けている。彼の科学技術関係の著作のダメさ加減は実際に読んで知っていたけど、このようにわかり易くまとめられていると改めて妙な感動を覚える。批判が全て妥当だとは思わないが大筋は同意できるし、批判のしかたとして参考になるものだった。後半は立花氏自身を分析した内容であり、立花氏の個々の発言や個々の記述ではなく「人間性」を分析している。「どうして立花はダメになったのか?それとも元々なのか?そのダメさは有害か?」という、本人が読んだら確実に激怒するであろう内容である。本書の前半と比べると内容が乱暴だけど、ありふれた批判文章よりは遥かにできがよい。
ちなみに評者は若い頃の立花氏の著作を知らない。評者にとって立花氏は始めから怪しい物知り著述家だった。だから、「ロッキード関係で高い評価を受けている人がその名前を利用して間違った情報を広める。だからこれに警鐘を鳴らすことは有用だ。」という意見が評者にはピンとこない。本書は立花氏を知るためには役立つ本だが、立花氏を知ることが有意義かどうかは別問題である。
SUGIZO-音楽に愛された男。その波乱の半生-
最近SUGIZO氏が気になり、手にしたこの本。
なぜ、彼が人の魂を揺さぶる音楽を作ることができるのかが分かる本だと思います。
長い人生の中で何が自分に残せるのか?何をしたらいいのか?
など彼の人生から考えさせられることも多く、参考になる一冊でした。
越境者 松田優作
松田美智子さんには、以前、「永遠の挑発」という松田優作について書いた本がありますが、これは、妻が書いた手記のレベルを超えるものではありませんでした。しかし、この本は、ちゃんとしたノンフィクション作家の手になる伝記です。優作ファンならずとも読んで損のない本です。
昔、下関で暮らしていた時期があって、優作の生家や神田小学校、通った高校も見に行きました。高校は島の頂上近くにあって、外海が一望できます。この景色を優作も見て育ったんだな、と思った記憶が蘇りました。
表裏井上ひさし協奏曲
井上ひさしの遺児となった三人の娘たちへ向けた母親の立場からの記録であって、偶像破壊を目的とした暴露本ではありません。別れた夫=父親の才能を認めながら自分の貢献も評価して娘たちの傷を深くしないように注意深く書かれています。とはいえ、多くの本を引用して書かれた桐原良光『井上ひさし伝』(白水社, 2001)がきれいごとに終始しており、よそゆきの印象なのに対し、本書が井上ひさしの「狂」的な部分や陰の領域、コンプレックスなどに焦点が当たっているのは否めません。それら陰の部分は石川麻矢『激突家族』(中央公論社、1998)などを併読してみても、真実だろうと思われます。「死は自他共に人生の浄化であってほしい」と好子さんは書いていますが、井上ひさしの姿勢を非難することで娘たちを(特に長女の都や次女の綾を)救おうとする本になっています。それと同時に、作家は偉人であるべきだなどとは思わない私には、井上ひさしの一面をよく表した本だと思います。ひさし本人が亡くなっているため、一方的な論難であるとしても。
不思議なことに、ひさしの傑作は好子夫人と激突していた頃に書かれています。好子夫人との離婚後に出来た傑作は『父と暮らせば』です。