バチカン―ローマ法王庁は、いま (岩波新書)
自分も含めて、日本人にはとんと縁の無いバチカンルポ。
内容としては、先代から現法王にいたるバチカンの歩みを中心に、簡単に歴史経緯にも
触れられている。
読みやすい分、ある程度知識を持つ人にとっては、けして中身が濃いわけではない。
まああれだな、某映画を見て「キリストの子孫が(略)」とか言っちゃってる人向けの
教養本と言うことで、ちょっと甘めに座布団4枚。
岩波らしくない時流にのった本。
ローマ法王 ヨハネ・パウロ2世 平和の架け橋 [DVD]
一時間番組では限界なのでしょうが、
掘り下げが足りないように思います。
教皇としての精力的な行動がメインですが
晩年にももっと注目すべき事柄はあったと思います。
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 (Beethoven: Symphony No. 9)
マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送響による2007年10月27日のライヴ録音です。
ただし、ローマ教皇ベネディクト14世の御前演奏(ライヴ)という特別な演奏会の
記録であり、SACDです。
丁寧に音楽に向かい合ったという感じの演奏です。ローマ教皇という超VIPの御前
演奏ということもあり、演奏者が強度の緊張を感じて演奏を開始したのでしょう。
第1楽章は「超安全運転」で始動した感じを受けます。ただ、そこは世界第一級の
オーケストラと合唱団。だんだんといつもの弦の輝きと重心の低い太い音色が
表れてきます。第2楽章もキチッとした演奏。アンサンブルも完璧。第3楽章は
最も丁寧で繊細な演奏。ただ、やはりオーケストレーションが薄い分、奏者たち
にはプレッシャーになったのか線が細い。第4楽章は全員による演奏になるので
再度力強さと輝きが増してきます。とにかく合唱団が上手い。上から下までが
美しさと輝きに満ちています。これがライヴなのかと疑うくらいです。ただし、
最後まで力強さと良い意味での勢いが出てこないのは、やはり特別な場であると
いう気負いなのでしょうか?。ヤンソンスの指揮は最初から最後まですっきりと
しつつも安定しています。間違いなく、今後20年はヤンソンスが世界の指揮者の
中心となっていくだろうということが感じられました。
ローマ教皇検死録 (中公新書)
歴代ローマ教皇の死因や当時の医学状況などについて述べられている本。教皇といえども人間である以上病気・死からは逃れられない。ここに書かれているのは権力を恣にし、神聖な存在として民衆に崇め奉られた存在ではなく一人の人間としての教皇の姿であり、大変興味深く読めた。自分は「女教皇ヨハンナ伝説」「コロンブスの年の輸血」の章が特に面白いと思った。
神の代理人 (塩野七生ルネサンス著作集)
塩野七海の著作に、読者が期待することは人間ドラマの模様と歴史的考証の正確さであろう。この本は、そのどちらをも兼ね備え、かつそれを越えた小説としての驚きをもたらしてくれる。塩野七海は、ここで法王を主人公とする古代の政治全体を劇場であるかのように見立てている。塩野七海が書いているのは、歴史書ではなく、あくまでも小説である。表現手法という形式的な側面から、小説としての面白さに迫ったのがこの作品だ。収録されている短編全てに違った驚きを読者は見いだすことができるだろう。オススメ!