ムーン・ストーン
なにしろ30年以上前の日本ですから、、、音質はけしてよくありません。
若者の少し背伸びしながらも溌溂としたプレイを素直に楽しむアルバムだと思います。
個人的には今でもこうして買えたというだけで最高評価です。
第三の時効 (集英社文庫)
捕まるのは時間の問題だし、もしアノ"冷血"楠見(二班班長)が取調官だったら、私はすぐにオチるっ!〜さっさとオチた方がなんか楽に思える(涙)
次にイヤなのは"青鬼"朽木(一班班長)。田畑課長じゃないけど、表情があるだけ、村瀬(三班班長)がマシ?!
そう、結局は、単なる究極の選択に過ぎない。どうあがいたって逃げることはできないのだから...
この短編集に出てくる F県警捜査第一課強行犯捜査の3人の班長達は、互いに競いあい、恐るべき検挙率を誇っている。部下たちを手足のように、ある時は道具のように遣って目の前を事件を他の班より早く終らせ、新しい事件をかっさらい...部屋にはギスギスとした雰囲気が常に漂う。
彼らの直属の上司の田畑課長は、色は全く違えど独断専行のやり方に腹に据えかねることは少なくない。が、しかし全く持ってつけいるスキがない彼らが出してくる"結果"のおかげで、課長自身が着々と出世しているのである...
そんな課長が班長達を評してコトバ。
「”事件で食ってきた”のではなく、”事件を食って生きてきた”」
なんか、ハゲタカに内臓えぐられているような表現(怖)
でも、この作品、決して後味が悪くない。
娘の父親をかばっていた母親がよよと泣き崩れたら、通常は
「なんで捕まえるの〜かわいそうじゃない」
と同情に走るのだが、それをすっぱり斬りさげるところに何やら爽快感すら感じるのはなぜ?
横山作品に共通するのだが、何か”柔らかい”部分をいつも残しておいてくれるのだ。それがどんなカタチを取るのかはその時々だが。
だから、一見非道に見える班長達の捜査の行方をじっくりと観ていられる気がする...
臨場 (光文社文庫)
うっかりすると見逃してしまいそうな些細なことの中に、大きな真実が隠されていることがある。倉石の鋭い観察力は絶対にそれを見逃さない。人の心の奥底に潜むものさえも、時には見抜いてしまう。事件や事故を機械的に処理するのではない。そこには温かな心遣いが感じられる。そこが倉石の魅力となっている。倉石はこれから先もずっと検視官を続けていけるのだろうか?ラストの描写が気にかかる。
顔 DVD-BOX
毎回、似顔絵を通して人々の秘められた心を明らかにしていく瑞穂(仲間由紀恵)の洞察力には脱帽でした。似顔絵の人物の内面を瞬時に読み取ってしまう彼女の能力は、謙虚さとやさしさがあるからこそなのでしょう。それは、幼いころの傷を抱え、今も苦しんでいる耕輔(オダギリジョー)に対しても同様で、特に最終話で「あなたのそばを離れない」と耕輔に言うシーンは感動的です。
逆に、男社会の警察組織の中でつらい思いをする瑞穂に対して、耕輔が徐々に見せはじめるやさしい眼差しもとても印象的です。また、自分と同じように母親を殺されてしまった少女に、ぎこちなくもやさしくコップを差し出す耕輔の姿などには、彼本来の純粋さがあふれていてグッときます!
一途な瑞穂を仲間由紀恵さんが好演し耕輔役のオダギリジョーさんが、やさしさとトラウマに直面した苦悩をうまく演じ分けていて秀逸です!二人を取り巻く脇役陣も、硬派な中に愛情を秘めているのが回を追うごとによくわかります。「恋愛」という枠を越えて、もっと広い意味での「愛」が伝わってくるドラマです!!
ルパンの消息 (光文社文庫)
奇想的シナリオもさることながら、登場人物の巧みな描写に引き込まれる。
心に湧く漠としたもの、脳を支配する思考、全ての動きを克明に動機付ける表現力は作者の天性の心理洞察力によるものか。
主人公は理由も判らず警察に連行され、15年前に母校の女教師が自殺した一件について執拗な聴取を受ける。
警察側、参考人共に過去の因縁に翻弄され、事実究明へのもつれた糸は遅々として解れる様相を見せない。
犯人は? 動機は? 方法は?
向こう見ずで多感な青春時代の回想シーンと息詰まる事情聴取
結末が見えたと思いきや、二重底により隠された真実が・・・・。
読後、これほど余韻を残す物語あっただろうか?
若き日に読んだ標題の作品以来の傑作であると信じて疑わない。