ブランク・ジェネレーション [DVD]
本作品には、ラモーンズ、トーキングヘッズ、ブロンディー、パティー・スミスなど、ニューヨーク・パンク/ニューウェーブにハマったことのある者にはおなじみの面々の非常に貴重な映像、音声が収められています。映像はモノクロなのですが、それがまたそれらの映像の貴重さを感じさせ、何らマイナスとなっていないように思われます。しかもその映像と音声は、全く合っていないのですが、音声と映像それぞれ単体であってもその価値は損なわれないように感じられます。
私的には、デヴィッド・バーンの歌の下手さ加減に衝撃を受けました。バーンの歌のうまさには日頃から感心していたので、この音声をきいたときには一瞬唖然としてしまいました。
本作品にはこれらアーティストの、今では考えられない若々しく初々しい姿、音声が収められているのです。
Patti Smith 1969-1976
オールモノクロで美麗と言わざるを得ないポートレイトが圧倒的濃度で収録されてます。
69年〜76年までのパティ・スミスを収めて悪い作品にする方が難しいでしょうが、これは文句ナシです。
基本(この時代から)ノーブラなのでセミヌードも惜しみありません。どうでもいいような自称アーティストが脱いだの脱がないで騒いでるのが本当に馬鹿馬鹿しく思えます。
これが真のアーティストでしょう。
この内容でこの価格はコストパフォーマンス高すぎです。
ランド(1975-2002)~グレイテスト・ヒッツ
パティスミスのアンソロジー2枚組が発表されると分かった時から私個人の注目はシングルの「Hey Joe」「Piss Factory」(これは収録)やシングルB面のレア曲でリマスターのボーナスから外れた「Time Is On My Side」やその他のライヴヴァージョンが収録されるかどうかだったので初期に思い入れの強い私にはちょっと期待はずれの部分もありました。近年、完全復活というか初期に勝るとも劣らぬ活躍なのでこういった選曲は妥当でしょう。ブランクがあったにも関わらず彼女のヴォーカルは以前と変わらず少し危なげでパワフルで聴き応えがあります。1枚目のベストはちょっと「イースター」びいきではありますが文句はありません。十分納得できる選曲です。アートワークを含めて今まで全く駄作が無いパティ。恵まれてるなぁ。
パティ・スミス―愛と創造の旅路
ありそうでなかったパティ・スミスのバイオグラフィ本が、とうとう日本語で読めるようになった。生い立ちから『Gone Again』リリース後のツアー(1997)までがカバーされている。この3年間のタイムラグが大きく感じられるのはパティが最前線のアーティストだからであろう。この部分は幸いなことに、翻訳者 鳥井氏のあとがきによって補われている。
この本では、熱烈なファンを自認するサーストン・ムーア(ソニック・ユース)その他の人々を通して、パティが語られている。一方、事実一つ一つの事実を踏み込んで書いているというより、著者本人の見方が前面に出てくるように感じた。そのためか、ストーリーにのめり込むことが少なかった。
楽しむことができなかったかというと、そうではない。個々のエピソードは興味深く、個人的に知らなかった新事実等もあった。とくに、97年1月のジャパンツアーのくだり。当時の記憶がよみがえってくるような内容でうれしかった。
Just Kids
内容などについては先行レビューを参考にして下さい。
著者は詩人としてキャリアをスタートした人なのですが、この本では難しい語彙の使用を控え、短文を積み重ねる表現手法をとっています。そのことできびきびと物語が進み、場面が移り変わっていきます。
この本は他にノミネートされた John Dower の本などに競り勝って 2010 年の National Book Award (Non Fiction) を受賞したようです。インターネットで National Book Award 2010 を検索すると授賞式での Patti Smith のスピーチが聞けます。ちょっと感極まって言葉に詰まったりと意外な面が見れますので、ぜひどうぞ。