世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実
私は、原発の1回目の爆発が起きたとき、日本のニュースと海外のニュース(スカパーで視聴できるBBCとCNN)を見ていた。日本では何かわからないと専門家が言っている中で、海外の専門家は映像を見ただけで「水素爆発だ」と即答していた。日本ではそのずっと後に水素爆発と報告されたことが印象的だった。
3号機での爆発映像も、爆発の煙の先に音速を超えていると思われる衝撃波が見えて、”これは何か違う”と思った。
この本には、それは水素爆発ではなく核爆発であるという指摘があり、それでこの私の”違う”という疑問が、解けた気がした。
つまり、3号機では広島や長崎のような核爆発が(程度の差は私にはわからないが)起きているということである。それが海外では報道されている。日本では報道されていない。
他にもいろいろなことが載っていて(例えば既にチェルノブイリの半分の放射線量が放出されているとか、燃料棒の破片が爆発で吹っ飛んで外のがれきと一緒に落ちているとか、放射線量があまりに高すぎて機械が壊れて測定できていないとか)、ぜひ皆さんに読んでもらいたいと思う。
私は、日本の報道より信頼できると思っている。
までいの力
今回の震災で飯館村を知りました。この本は飯館村の日頃からの暮らしを大切にされている村民の暮らしを取り上げられている。よき日本の暮らしが根付いていると思いました。普通の生活を積み重ねてこられた結果だと思う。わが町も負けてはいられない!と思い、逆に励まされた1冊です。
原発に「ふるさと」を奪われて~福島県飯舘村・酪農家の叫び
阿武隈山地の高原にある飯舘村は、小高い山々に囲まれた水田の稲穂が風になびき、牛が草地に寝そべる美しい村だった。三世代同居の多い家は、門構えも立派で、道路のわきの草地も整然と刈られていて、清潔な村をつくっていた。
著者は、飯舘村前田地区の区長であり、村長の菅野典雄とはともに酪農農家として農業経営に励み、菅野村長の選挙にあたっては「出納責任者」を務めるなど、いわば「刎頸の友」として村作りに努力してきた。
しかし、著者は、今、「美しい村に放射能が降った」(菅野典雄ワニブックス)に書かれたような菅野村長の「二年で帰る」復興案に反対する。著者にとっては、昨年3月11日の大震災に続いて起きた「福島原発被害・放射能汚染」の実態を隠し立てや誤魔化しなしに捉え、問題に直面化していくことによって見えてくるものを、しっかり把捉することの方が重要なのだ。
菅野村長は、遅きに失した「スピーディ」の公表をあげつらうよりも、むしろ経産省と一緒に村の振興に必要な「実利」を確保し、それを早期の「飯舘村帰還」に役立てようとしているように見える。十数年前、選挙に出るために全ての乳牛を処分してしまった村長には、もはや酪農家や農家の生活感覚は薄れているかも知れない。
しかし、著者は、酪農家・農家の立場に立って、牛やイノシシ牧場の処分、汚染された農地や山林をどうするか、前田地区を始め飯舘村の人々と議論して役場や農林水産省・経産省の役人に掛け合わなければならない。
南相馬(原町)市から放射線を逃れて難民が押し寄せた直後、3月14日の時点で、役場職員の一人がガイガーカウンターの異常に気がついていた。40μシーベルトを超える線量を示していたのである。後に、菅野村長は否定しているが、役場職員は「村長から箝口令がしかれている」と著者に言う。著者は、「隠すことなどできない」と言って、翌日、前田地区の公民館で雨の中を集まった住民に、飯舘村が放射能に汚染されている状況を説明する。しかし、その日、放射線量は100μシーベルトを超えていた・・・。
著者は、問題に正直に直面化し、その中から、実現可能な最も良い対応策を考えていくプラグマティストであるように見える。口蹄疫被害を受けた宮崎の酪農家から賠償の実態を訊き、賠償請求資料を作成するなど現実的な行動力に優れているのはそのためだ。
読者は、突然、不条理な「ふるさと崩壊」に直面した人間の、しかし、諦めることのない努力に感動させられることだろう。飯舘村が、今後、どのようになるかは分からない。しかし、著者が決して戦うことをやめないことは信じていいように思えるのである。
美しい村に放射能が降った ~飯舘村長・決断と覚悟の120日~ (ワニブックスPLUS新書)
隣町の出身なので他人事ではなく、
私には読む義務があると思い購入した。
いまは○マイクロシーベルトと聞いて
なんとなくレベルがわかるようになってしまったが、
3月当時、どれだけの日本人が知っていたか。
いろんな学者がいろんなことを言い、
国や東電はやることなすこと後手後手、
なんの情報も信用ならないなか、
飯舘村長が賛否両論を浴びながらも、
村そして村民のために動き続けた日々は想像を絶する。
この人は、ニュースなどで発言を切り取られ、
いろいろ損をしてきたのではないかと思った。
東京にいると「早く逃げればいいのに」と短絡的に思ってしまうが、
私の町に住む人たちも、放射能に対する考えはさまざまだ。
職業や年齢、
子供のいるいないでも対応が違う。
それぞれが、自分で考えて選択するしかなくなった。
だから
何が正解かなんて言えないけれど、
間違いないのは、
これはまぎれもない「人災」だということ。
起こってはならなかったのに
起こってしまった人災に対峙した、
ひとりの人間の生き様がここにある。
人災を起こした人たち、
助長させた人たちには、
とくに読んでいただきたい。
自分の故郷を愛する気持ちがあるならば、
何かは響くはずだ。
誰も書かなかった福島原発の真実
福島原発の事故について 中間報告書を時間経過とともに図版を使って説明されています。
専門用語も出てきますが 補足もあり知識がなくても読み進めることができます。
東京電力の事故対応の論点や 政府の事故対応の遅れ 本当に人災なのかという問題など疑問点も明らかにされています。
第4章に書かれている原発立地住民の方たちのお話は読んでいてとても悲しい気持ちになりました。
筆者のその方たちに対する思いが伝わり 是非これからも被災地の復興と再生のために活躍をお願いしたいです。
日本に原子力は必要ではないのか このままで経済はよくなるのか あらためて考えるためにも読んでみてはいかがでしょうか。
ただ多くの人にお勧めの一冊なので 値段設定をもう少し押さえたらもっとよかったのでは…。
今回の中間報告書だけでなく最終報告書の解説を期待するものとしての意見です。