ヤバい統計学
ちょっと前に、ちょっとだけ話題になった本『ヤバい経済学』は、原題“freakeconomics”の上手い訳でした。
本書はその姉妹編でもなんでもありません。原題はおろか、著者も、訳者も、出版社とも関係ありません。
原題は“numbers rule your world”(数があなたの世界を支配している)で、内容は全然ヤバくありません。
内容は極めて真面目でマトモ。
統計学がいかに応用されているかということが、実例を挙げながら丁寧に分かりやすく説明されています。
統計学が応用できるということが、世界が数に支配されていることの帰納的証明になっています。
「稀なことは、基本的に起こらない。」と言うのは、当たり前のようで、統計学的な洞察でもあります。
10年ほど前に流行った、流行り損ねた、データマイニング礼賛の書、『その数学が戦略を決める』(下手な邦題です)の方が、いろいろな意味でヤバかったです。
データマイニングって博物学というか、百科全書派みたいな感じがします。
全てを集めて整理すれば全てが分かるという幻想に取りつかれて、いつまでも整理している学者みたいなイメージです。
統計学に興味があるのでしたら、本書の方が全然いいです。
レスリング・ウィズ・シャドウズ [DVD]
世に言う「モントリオール事件」の内幕を、ブレッド・ハート寄りの視点から描いた作品です。さほど熱心にアメプロを追っているわけではありませんが、それでもやはり登場人物の若さや、ブレッドの奥方に問いつめられ戸惑うHHHの初々しさには素直に驚かされました。どこぞで読んだブレッドの「プロレスはみんなが思っている以上にリアルなものなんだ」という台詞について考えさせられます。
ヤバい経済学 [増補改訂版]
「道徳」は世の中がどうあって欲しいかを示すものである。一方で、経済学は世の中が「実際にはどうであるか」を表している。
本著のデータによれば、日本の大相撲では八百長が存在していることを明確に示している。八百長報道があった後は、7勝7敗で千秋楽を迎えた力士の、8勝6敗の力士に対する勝率はいつもの80%ではなくて、50%になる。つまり八百長報道があった直後においてのみ、力士間の取引が成立せず「実力」で勝負するのである。その他、常識や希望的観測が間違っている例が本著には列記されている。知的生産を行う人、ビジネスマンは必読であると言えよう。
まんが八百長経済大国の最期 (ペーパーバックス)
日本の「政、官、業、ヤクザ」の癒着政治の問題点を徹底的に追求しています。この本を読むかぎり日本は救いようのない状態になっています。改革においては中国ばかりか韓国にも遅れをとっているとも書いてあります。
このカナダ人の著者は日本の政治体質と米国が相当嫌いなようです。そのために感情が入リ過ぎていて偏った見解が多くなっており、信憑性が欠けているように感じられるところもありました。
最初は読んでいて面白く共感するところもあったのですが、読み終わると少し不愉快になりました。おそらく、ネガティブのまま終わっているからでしょう。日本が最悪の状態にあるのは私も感じています。ただ、このような批判本が出版できる国であるかぎり、まだ日本は救いがあると思っています。おそらく中国では不可能でしょう。
外国の方の一意見として捉えるならば、これはこれで勉強になりました。
誰も書けなかった日本のタブー (別冊宝島) (別冊宝島 1752 ノンフィクション)
今、「噂の真相」があれば、ここまでひどいメディア環境にはなっていなかったはず。
福島原発の事故で、よやく東電の体質が露呈したように、事件・事故でも起きないかぎり、まっとうな報道は出てこない。
そのような意味で、このムックに掲載された記事は、「噂の真相」とまでは言い切れないが、どれも秀逸。とりわけ、東電や電気事業連合会のメディア支配の実態について、ここまで掘り下げている記事はまだ出ていないし、今後も出ないだろう。
なぜなら、あらゆるメディアが電気マネーを喰ってきたから。こうしたインディーズの媒体でしか、指摘できない事実だ。
ほかにも、国体の要である皇室が今、大変な危機に瀕していることにショックを受けた。秋篠宮に親王が誕生したことで、皇位継承の問題、皇室典範の改正問題はうやむやになってしまったが、天皇家がこのまま続くのかどうか、、、危機の本質は何も変わっておらず、真に国体の護持を望む日本人なら、記事のいさぎよい指摘には、真摯に向き合わなければならない。
その他、震災が起こっていなければ政治課題になっていた前原・献金問題の本質や、相撲スキャンダルの複雑な背景など、既存の週刊誌はおろか、ネットの中には一行も見当たらない話が多く、ひさしぶりに活字の迫力を感じた。