ベスト・オブ・ジャック・ブレル
現役で唯一の国内盤CDということなので、私も少し感想を述べたい。1つ感じたのは、「あと1曲か2曲、入らなかったかなあ」ということ。確かに、「J'arrive(孤独への道)」も「la chanson de Jacky(ジャッキー)」もない。「la Fanette(ファネット)」はおろか、「le dernier repas(最後の晩餐)」すらない。彼の、数多いヒット曲、名曲を思うと、1枚ものの方で出すのが無理だったのではないか、と思える。2枚組も出ていたのだから、最初からそちらで出すべきだった。かつては、新星堂(オーマガトキ)が、独自に2枚で出していたことがあり、それはなかなかの内容だった。今回のこのCDの特徴は、「ステージで歌った曲優先」のように思える。実際、最初から最後まで通して聴くと、「ライヴのプログラム?」という感じを受ける。「Vesoul(お前の言いなり)」は、TVで歌った映像も残っているので、或いは、「J'arrive」よりは、フランス人にとって、馴染み深い曲なのではないか。最初の2曲は、このアルバムの目玉('77の、未発表曲5曲のうちの2つ)であるし、「l'amour est mort(過ぎ去りし恋=愛は死んだ)」は、「la chanson des vieux amants(懐かしき恋人の歌)」と、テーマ的に似ている。それでこういう選曲なのだろう。だから、構成的に申し分はないが、初めて聴く外国人には、少し不親切ではないか、と思った。では、2枚組の方は、というと、そちらは、序盤に例の未発表曲5曲がすべて入っているため、やや、晩年に重きを置いた、それこそ、「重い」構成となっている。古くからのファンは、これで大満足だが、逆に、初心者はとっつきにくくなってしまった嫌いがある。良いベストは、選曲はもちろん、その配分も優れている。かつて、曲数は14曲のみと少ないが、「これぞ、ベスト!」(同名「ザ・ベスト・オヴ・ジャック・ブレル」L25B-1025)というのがあり、「シンプル・イズ・ベスト」が、これほど似合うアルバムは無いと思ったぐらいである。
老夫婦
ガブリエル・バンサンを知ったのは『アンジール』が最初で、この本は
一生の宝物となっている。個人ブリーダーをしているため回りは犬好き
が多いが、プレゼントしてこんなにも喜ばれる絵本は他にない。今回
『老夫婦』を発注し本を開くと、冒頭に彼女の手紙が紹介されていた。
『私は絵を描いています。ずっと、ブレルを聴きながら描いています。
「老夫婦」というシャンソンを絵にする・・・というこの一連のデッサンの
仕事は、とても順調に進めています。ブレルの歌を聴かずには、一筆
たりとも描いたり塗ったりすることなどありません・・・ 』
音楽は大好きだが、これまではJAZZとかBLUESとかROCK'N ROLL
が中心でシャンソンは深く聴いたことがない。ジャック・ブレルの唄も
耳にしたことはあるが、声が良いわけでもなく怒鳴るような唄い方だし
(加えてハンサムでもなく)、全体的になにかガサツな印象が強かった。
しかしながら、彼女の気持ちを感じるに従って僕もブレルの唄を聴いて
みたいと思い、彼のベスト盤「Brel Infinimennt」を直ぐに取り寄せた。
バンサンの絵本の効果があるのか、それとも定年間近で年齢的な感傷
が加わったためか、若かった時分とは異なりしみじみと音が入ってくる。
ページを進めるにつれ、最初は重たかった「老い」のイメージが何だか
安らかなものに変化していくように感じられた。ブレルの「唄心」が理解
できる歳になったのかもしれぬが、今回は歌詞カードをしっかり眺め
ながら聴いたことも大きかったようだ。Bob Dylanと同様に、彼の唄も
歌詞の内容を噛みしめながら聴くと良いのかもしれない。
人生の岐路に差し掛かった方々へ、立ち止ったときに見て聴いてほしい
絵本とCDをお薦めしたい。(本とCDの双方に同じレビューを載せました)
子どもたち ドアノー写真集 (2)
ドアノーが子どものさまざまな表情をとらえた写真たち。
とってもすてきでした。
創造的に遊ぶ子どもたちをとらえた写真など、眺めているだけで時が経つのを忘れさせてくれます。
クーカ
カリスマ・アコーディオン奏者,ジャン・コルティ氏♪72歳♪
以外や以外!
ジャン氏のソロ&自作曲中心としては、これがデビューアルバムなのだそうだ♪
最近,日本のアコーディオン奏者が取り立たされる中、
私はやっぱり,この方のアコーディオンが好き♪
しっとり としているのに、どこかカラッ とた印象も強い♪
お茶目さがあって,腰が据わった大人の艶もある♪
これが、フランス、ミュゼットの音色ということなのかしら♪
超絶技巧も、せわしなく感じないほどに素敵なんです♪
弾いているときの様子,とっても いいお顔しているんだぁ♪
とっても幸福なの♪
このアコーディオンの音色は幸福の音色です♪
馴染み深いところでは、
宮崎駿アニメで加藤登紀子さんが歌っていた,”さくらんぼの実る頃”
が収録されています♪
お登紀さんの歌の世界とはまた違うけど、これまたスゴブル素敵♪
さらっとして、シンプルな響きの印象なのに、じーーんと来るんですわ♪
聞き比べて楽しむ価値大有り!
ちなみに、アルバム名の”クーカ”は、
ジャン氏の愛犬,牝犬のクーカちゃん なんですって♪
同名の曲は、スィング・ジャズです♪
ドラムのアドリブも加わって、いい空気っす♪
クーカちゃんも、ミニ・アコーディオンをお持ち♪弾いちゃうのかしらん♪
フィオリーナ
なんでも50年代から活躍しているらしいジャン・コルティですが、ソロ名義の作品は2001年の"Couka"が初めてで、このとき既に齢72歳。可愛らしいジャケット・デザインと「72歳のデビュー作」というのに敬意を表してデビュー作を買ったんですが、軽やかで美しいアコーディオンの音にすっかりはまってしまいました。
それから不謹慎ながら毎回「これが遺作か?」と思いながら聴き続けています。今回はわずか2年のインターバルで届けられた3作目。御大は80歳になったそうです。ジャケットのデザインが前2作品のような可愛らしいイラストでなくなり、またデジパックから通常のケースになったのが残念です。内容は、インストものが中心だった前2作品と異なり、ゲスト・ヴォーカルを迎えた歌ものが大半。歌伴をやってた人だから当然と言えばそうなんでしょうが、慣れたスタイルなんでしょう。ジャズ風のインストなどが無くなった分、この3作目が断然聴きやすいです。
アルバムは基本的にアコーディオンにウッド・ベースと生ギターを加えた編成で、歌がそれに乗ってて、時々マンドリンやらちょとした楽器が入る程度。一発録りらしいです。そんな録音だからしょうがないですが、歌にしても音楽にしてもミス・トーンが結構あります。こんな音楽は雰囲気一発で聴くもんでしょうし、細かいことを言うのは野暮なのかもしれませんが、それにしても・・・。「歌ものが多くて聴きやすい」と言った舌の根も乾かぬうちに言うのもアレですが、オーソドックスなミュゼットのスタイルでやってる10や15などのインストが結局一番気に入りました。
今回は日本盤のみのボーナス・トラックはなかったんですが、ジャケ記載の「ジャン・コルティの語るアコーディオン人生」の仏語和訳が読めるのはありがたいです。