赤い小馬 (新潮文庫)
「贈り物」「大連峰」「約束」「開拓者」の四短編収録。
四編とも二十世紀初頭(たぶん)カルフォルニアの田舎が舞台。夢見がちな十歳の少年、ジョーディを主人公に、大自然の中での暮らしぶりが描かれています。解説によればスタインベックの自叙伝的作品だそうです。
『大草原の小さな家』のような空気感が好きな人には文句なしにおすすめです。大らかで写実的な自然描写が魅力的。たぶん少年少女向けの作品なんじゃないかな。とても読みやすいです。
といっても主題はハード。生と死をわしづかみにするような作品です。エンターテインメント的な、荒々しくもハートフル、みたいな妥協はありません。荒々しさは荒々しさのまま。ショックを受ける人もいるかもしれません。
十歳で生命というものの理不尽さに心を鍛えられる人生と、そういう経験なしに大人になってしまう人生は、ずいぶんちがうんだろうなと思います。今の日本ではありえない生活ですが、こんな薄い本一冊で疑似体験できるなら、自分に子どもがいればぜったい読ませたいですね。
むろん大人の鑑賞にも堪えうる作品です。ジョーディがなにを感じどう成長してゆくのかは描かれません。感じ方は読者にまかされています。ぜひ読んでみてください。
One Trick Pony
このアルバムが発表されてから35年近くたった今でも、まったく時代を感じず違和感なく聴けるアルバムです。
ポール・サイモンは本当に素晴らしいミュージシャンだと思います。
聴いていて楽しく、そして何より癒されます。
クールでホットな都会的なアルバムで、バックメンバーも一流ミュージシャン揃いです。お薦め出来る1枚だと思います。
One Trick Pony [VHS] [Import]
ポールのファンでも、映画としてはあまりおもしろくない。筋書きも単調で、結末も普通です。でもファンなら、この映画のサウンドトラックアルバムを持っているでしょうから、映像付きで聴くと、また全然違った感動があって、曲作りの意図も見えてくるような気がして、すべてが名曲と化してしまうのでした。子供と野球をして家に送って帰る場面はこの音楽なしでは陳腐でしょうし、「ACE IN THE HOLE」がこんなにすばらしい曲だったとは、これを見るまで気づきもしませんでした。もう日本では発売されないかもしれませんので、ファンは何としても手に入れましょう。「ソフトパラシュート」という曲は、サウンドトラックアルバムにはなく、この映画でしか聞けません。