なるたる(1) (アフタヌーンKC (186))
まず一言。表紙は可愛らしいですが、いわゆるジャケ買いなどは絶対しない方がいいです。表紙が放つイメージと作品の実際はあまりにかけ離れているので、ちょっと調べてみるなどした方がいいですね。作品全体の大まかな概要はここに書いてみようと思うので、参考になれば良いのですが。
取りあえず、お話全体の流れとしてはセカイ系に分類されるんじゃないかなと思います。生や死という概念を、ミクロかつマクロな視点で描いた漫画だと言えます。
また、人物描写(登場人物は小中学生が中心ですので、思春期における人物描写といった方が正しいです)に容赦が無く、現実以上に人間性や人間の暗部というものを強調して描いています。ある意味リアルではないですが、その生々しさたるや、思わず目を覆いたくなるほどに悪趣味なものがあります。そういった性質上、全体を通して異常とも言えるほどに鬱な展開になっているので、色々と考え込みやすい人は本当に読むのをやめた方がいいです。再三言いますが、この作品は表紙のようなほんわかした漫画ではないです。「骸なる星、珠たる子=なるたる」であって「なるたる」ではないんです。
と、まあ概して内容が本当にハードなので、少なくとも高校生以上の大人向けの作品ではあります。ただ別に大人にオススメという訳ではなく、子どもには絶対に読ませたくないという感じです。
私としてはこの作品、読んでいてこれほども「楽しい」とは思えませんでした。ただ嫌な気持ちが溢れるばかりで、それが発散されるカタルシスのようなものが全くないんです。報われない話には悲壮感を抱きますが、これには不快感しか後に残らない。つまるところ、その不快感をどういう風に受け止めるかが、読み手としては重要になってくるのではないでしょうか。
それは異常なのか、それとも耐え難い魔性か――まさに、問題作と呼べる作品でしょう。一読の価値はあると思います。
なるたる(7)<限定版> [DVD]
ここまで、原作を非常に忠実になぞったアニメでした。
コミックとアニメというメディアの違いゆえに、忠実になぞるといっても、その雰囲気を正しく再現するのは難しいのですが、やりとげていました。
ここまでは。
で、ここでいきなり終わるのは無いだろう。(^^;
まずは、原作に忠実だったゆえに、ここまでではアニメを選択する意味というのはあまりありません。原作だけ読んでいれば、同じものが得られるうえに、物語の最後まで読めるのです。
なので、今後終盤に向けてコミックでは概念というか世界観が先行しがちでドラマが薄れてしまった部分を、アニメとしてどう魅せるかに注目したいところだったのです。
いろんな側面で解釈の余地がある原作を、アニメはどう解釈してみせるのか…
なので、ここで終わってしまっては、このアニメは「コミック読んでれば必要無い」「途中で途切れたもの」になってしまうのです。
ここまで原作を雰囲気まで忠実に再現してきたことが、かえってマイナスになってしまうのです。
コミック抜きでアニメだけで見れば…非常にできがいいけれど、尻切れトンボだったアニメ、ということになるでしょう。
よくあることです。(^^;
なるたる(12) (アフタヌーンKC)
なるたるはアニメからはいりました。
当時、わたしは中学生で、コミック買いたいなと思ったころにはぞくぞく絶版。
高校進学してから重版されたので全巻まとめてかいました。
はっきりいってなるたるはわが思春期のバイブルです。
そんな私の思春期は決してさわやかといえるものではありませんでした。
しかしなるたるととともに歩んだ冬のような思春期があったからこそ、
今は楽しく青年期を暮らせているのだと思います。
経験から言えば、思春期に読むと冬眠したくなる漫画です。 生き急ぐ方にはあまりおすすめしません。
キッズステーション アニメ「なるたる」サウンドトラック
『なるたる』というSFファンタジーアニメを知ってる人には待ちに待ったCD。 まったく知らない方には仮想空間を旅する時のBGMに必携の1枚。 元気印のテーマソングや独特の世界観を持った全30曲の音楽達に、きっと魅了されますよ。
なるたる 全12巻 完結コミックセット(アフタヌーンKC )
ある日、主人公は、海で星型の謎の生物と出会う。
不思議な力を持つ生物と過ごすうちに、同じ境遇である(生物の姿は、その所持者の深層心理に影響される)様々な人物と出会い、戦い、物語は進んでいく。
ただそれだけ、ということではないが、グロイ。肉体的にも、精神的にも。
覚悟して読んだほうが良い。
表紙に小さく書かれているが、タイトルの「なるたる」は「骸なる星、珠たる子」の略である。
精神的に負荷がかかるものが苦手ならば、徐々に読んでいくか、6巻まで買うことをオススメする。それで判断して欲しい。
別にそういうのは平気だ、もしくは鬼頭作品が好きだという人は、全巻買いで良い。
個人的には便利なシステムだと思うので、コミックセット、良いと思います。料金的には別にお得じゃないけどね。
好みが分かれる作品だと思う。
1巻のレビューが別にあるので、そちらを読んだらよく分かる。
ただこの作品を、作者の価値観は歪んでいる。としかとらえられない人は、頭が固いと思う。
力を持った人間が考えることを想像してみれば、作者がどれだけ考えて作品を作っているかが少しはわかるはずだ。
その力を隠す、おびえる、己の為に使う、誰かのために使う、利用する、利用される。
そもそも、その力とは何か、何故与えられたのか。深く考えられているゆえに、作者の思考が透けて見える分、反発する人は反発するのだろう。
しかし例えば思春期の子供が読んだとして、受ける影響は、あまり良くないものが多いかもしれない。
深く、多角的に、物事を、人生を、人と言う存在を考えられるならば、何の問題もないはずだ。あくまでこれは一つの作品に過ぎない。
どうとらえるかはその人次第だ。素直に「なにこれすげー」とか「グロイわー、うけつけねぇ」で済ませてもいい。
ただ人に薦められるかと言われると、よほど仲良くない限り、無理だw
余談だが、ジャンプSQに鬼頭さんのインタビューが載っていた(読み切りを連載した号)
「グロく書こうとしてる訳じゃないんだけど、自分の考えた設定があって、それをもとに現実的に考えていくと、自然と鬱な展開になってしまう(笑)」
みたいなことを書いていた。