戦国・北条一族 (Truth In History 17)
北条早雲については司馬遼太郎の『箱根の坂』を読んで興味をもったことがあります。だから、一通り、北条早雲のことは判っているつもりでした。でも、早雲の出自がはっきりしたのは最近のことですし、しかも日々は移ろいやすく――。
そこで、本書を手にしたワケですが、「なぜ、早雲は駿河に下向したのか、さらに関東に侵入したのか?」の実態とか背景が本当によく分かりました。
そして、旧来からの関東の権力者が、北条氏代々を「他国からの侵略者、国泥棒」と見なしたということも。
金太郎飴のような並の「戦国もの」の書籍とは大違い。
本物の関東戦国史を、大変おもしろく興味深く読むことができました。ということで、★5つを進呈いたします。
新装版 箱根の坂(上) (講談社文庫)
司馬夫人いわく「司馬さんはどんどん若くなっていった」。
司馬氏の長編のなかでも最末期の作品のひとつ(日本史を題材とした長編としては遺作か?)です。
坂本龍馬のような「若き現実家」を描いてきた氏の作品の中では異彩を放つ作品であるように思われます。
日本の将来について,ややペシミスティックになっていたと思われる氏の「祈り」のようなものがこめられているようにも感じられます。
ときは応仁の乱で荒れる京都。
室町将軍家も大名も,民の暮らしを顧みることなく,領民の「生き血を吸う管」を奪い合うかのように,苛烈な権力争いにうつつを抜かしていました。
「天下ハ破レバ破レヨ,世間滅ババ滅ビヨ,人ハトモアレ,我身サヘ富貴ナラバ…」(応仁記)
北条早雲こと伊勢新九郎は,若年のころ,こういった権力中枢の退廃を間近で見ていたが故に時代に幻滅し,青年時代を無為に過ごしていました。
そのため,「人生50年」の時代にもかかわらず,その歴史的な活躍は50代以降という桁外れな大器晩成の人物として描かれています。
(最近の研究では,もっと若かったという説が有力だそうですが…。)
40代になってから駿河今川家の家督相続問題に関与して地方の小領主となった早雲は,生産力の向上によって急速に力をたくわえつつあった「国人」(要するに名もなき「国民」)のための政治を志向して,おのれの理想を実現すべく老いた身体にむちうって奮戦します。
「わしは,坂を越えて小田原に入る」「古き世を打ち破る」。
民政主義を掲げて「箱根の坂」を超えて関東に乱入し,室町体制の打倒を決意する「老いた革命家」の物語です。
箱根の坂〈上〉 (講談社文庫)
いわゆる戦国時代小説しか読まなかった小生において初めてその戦国時代の初めともいうべき北条早雲を読んだ。長年の思いを果たした感じだ。とにかく作品の構成がすばらしい。常に鎌倉幕府、室町幕府初期などの動静を解説しながら応仁以降の早雲を見事に物語っている。ところどころに古歌などを盛り込み、戦国の始まりとはいえなかなかの風情が佇む。信長以降のあわただしい戦国も面白いが、ある意味のんびりとした作品も興味湧く。お勧めの作品である。歴史小説351作品目の感想。2011/11/26
早雲の軍配者
久しぶりに読み終えてしまうのが惜しい本に出会いました。
読売新聞の書評の通り★五つをあげる小説です。
小太郎という、賢く心優しい農民の子が,韮山さま(後の北条早雲)に見出され、
千代丸(後の北条新九郎氏康)の軍配者(戦全般を司る専門家)になるべく
足利学校へ入学していきます。十四歳の若さで。
小太郎の濁りのない澄んだ目と心、
難解な学問で脱落者も多い足利学校で、わずか十八歳で教授にならないかと
推挙されるほどの叡智。読者は彼の魅力に引き込まれていくでしょう。
特に「高輪の戦い」。まだ軍配者見習いの身である小太郎が与えた助言は
北条軍の窮地を救っていきます。その合戦の行方には目が離せませんでした。
戦の勝敗は、すべて“軍配者”の腕しだいなのですね。
小太郎を見出した韮山さま(北条早雲)のなんと徳のあるお人柄か!
早雲の領地の治め方は農民たちにとってなんと寛大なことか!
何が何でも戦に勝つのではなく、兵や民が受ける傷を少なくする為の
戦の極意を知っている早雲と、それを受け継ぐ小太郎に
平和の光を見出す、爽快な歴史時代小説です。
表紙の絵の小太郎のりりしい合戦の姿にもご注目を。
信長の野望・蒼天録 パワーアップキット (説明扉付スリムパッケージ版)
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