光と影 (文春文庫)
渡辺淳一の初期作品は患者をmaterialと見なし冷徹に観賞している。
軍医の気まぐれで一人はアンプタし(切断し)、もう一人は腕を残した。
そして腕がある凡人が陸軍内で栄達し、アンプタされた非凡な青年は単なる事務員としての生涯を終えている。当時の医学水準を鑑みればアンプタがスタンダードであって、感染症の問題を考えれば徒に腕を残すわけには行かないわけである。だが気まぐれで腕を残された凡人が、腕のない優秀な人間の何倍も光の射す路を歩く。文字通り人生など偶然の産物でこの青年二人はたまたま軍医の気まぐれで路が別れたが、誰の人生も気まぐれで左右される霧のようなものであろう。
30-35(0)「卒業」
ワタクシ対象年齢の1コ上ですが、まぁ同じ様なものなので一言言いたくて書き込んでみました。
選曲にちとばかし不満じゃありませんか?皆さん!
斉藤由貴、菊池桃子ときたら尾崎豊の卒業もいれてくれなくちゃだわっ!(笑)
あと柏原芳恵の「春なのに」も外せませんよね?どう?どう?みんな~!(同意求む!)
バンド編の方の選曲がばっちぐー(死語)だっただけに、おしいっ!って感じじゃないですか?
買おうと思ってたけど、ちょっと迷い中の私です。
愛の流刑地 [DVD]
小説でしか読んだことがなかったのですが、小説とは違ったトヨエツの演技がとてもよかったです。愛するがゆえに人を殺してしまう?なかなか理解できませんが、寺島しのぶさんもとてもきれいで、いきなり死からはじまったのでショックでした。警察でのシーンは少し長くて余計かなと思いましたが、トヨエツさんかこの役はハマり役だと思います。
欲情の作法 (幻冬舎文庫)
渡辺淳一『欲情の作法』は『失楽園』など恋愛小説で名高い著者による実践的な恋愛の入門書である。冒頭から「男とは」「女とは」と性別ステレオタイプな見解が目白押しである。本書の男性論女性論は生物学的な差異を出発点にしているものの、ジェンダーに否定的な立場からは受け入れがたい面もある。
人間には十人十色の個性がある。それ故に「男とは」「女とは」と個性を無視してステレオタイプな見解を当てはめることは正しくない。一方で人間を個人としてではなく、集団として社会学的に分析する場合、グルーピングしてグループに属性を付すことは有効である。ここが人文科学と社会科学のアプローチの差異である。
問題はグルーピングが適切かという点である。男性と女性の分類では人類を二分割しただけである。血液型占いよりも大ざっぱな分類である。一方で恋愛において男と女は重要なアクターであり、男性論女性論も一定の意味がある。
但し、著者は恋愛小説で多くの読者を感動させてきた作家である。不倫のような反倫理的な恋愛も感動的に描いてきた。それが感動的である理由は登場人物の個性が表出された言動だからである。「男は浮気する生き物」とまとめられると感動が色あせてしまう。そこは医者でもある著者であり、人間に対する覚めた視点も同居している。
この種の二面性は林田力にも思い当たる。林田力は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りされ、裁判で売買代金を取り戻した経緯を『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)にまとめた。当然のことながら、「不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りした東急不動産はけしからん」という思いがあった。一方で問題物件を売り逃げして利益を上げる悪徳不動産業者の行動原理を理解するという覚めた気持ちもあり、文章をまとめることに苦労した。
本書はタイトル『欲情の作法』からしてセンセーショナルであるが、含蓄ある社会批評も存在する。たとえば「『美しい』というのは、かつて安倍元総理が唱えた『美しい国』という言葉が無意味であったように、あまり個性的とはいいかねます」とある(62頁)。林田力も東急グループの標語「美しい時代へ」の無意味さを実感しているため、納得できる内容である。
本書はステレオタイプな男性論女性論になっているが、現実社会では若年層が草食男子になっていると指摘されることがある。そのような傾向に対する高齢世代の著者なりの問題提起と読むこともできる。もっとも、本書は「最近の若い者は」的な説教臭さとは無縁である。読了後に読者が元気になるような書き方になっている。説得の話運びの巧みさを実感した。(林田力)
マリッジリング [DVD]
上司と部下が男と女の関係になるプロセスが簡単過ぎるため、リアリティに欠けた作品になってしまったのが残念。
しかし小橋めぐみの喘ぎ声と乱れっぷりが堪らない。胸の無さが清純な会社員のイメージにピッタリで、感情の起伏や切なさを上手く演じている。
下手なAVよりも悩ましい演出と美しい女優が映える作品である。