必殺必中仕事屋稼業 VOL.1 [DVD]
故人のご冥福を祈りたいと思う。
小生にとっては、緒方さんは必殺シリーズの(あの艶っぽいエロティックな藤枝梅安さんではなく)
"必殺必中"の半兵衛さんに行き着く。そば屋の店だけでは足りず「カカァをつける」と
女房をカタに博打を張る狂気の沙汰、しかしその気合で「半」の目を呼び賭けに勝ち、
「これで皆さんで飲んで下せぇ」といくらか賭場に巻いてにやりと引き揚げる・・・。
その一連の姿は息をするのも苦しいくらいの緊張と一気の解放を見るものに与えた名場面。
とても数々の見所を披瀝はできないが「さすらいの唄」「夜空の慕情」の2曲の秀逸さだけは
敢えて声を大にして訴えたい。特に「仕事」の場面でバイオリンのインストで流れる「夜空の慕情」は
必殺仕置人、必殺仕掛人の挿入インスト曲と並んで屈指の銘BGMだと思っている。(No.1!!)
最終回に至るまで、中尾ミエ演じる女房お春との生活感あふれたやり取りや政吉との掛け合い、
人生における絶望感やそれでも生き残った者は生きなくてはならない、と諭し、追っ手から
逃げていく(その途中で女房の店の戸口に小判を挟みこんで)半兵衛の生き様等々、今でも
ありありと脳裏に浮かんでくる。藤田まこと氏の中村主水シリーズを表の名品とすれば
緒方氏主演のこの第5作こそ知る人ぞ知る隠れた銘品だと思っている。合掌。
(他の映画等の名作名演も掛け値なく素晴らしいし決して他より優れているとかいう次元の
話ではありませんので。あくまでごく個人的な思い入れの吐露とお許し下さい。)
GOLDEN☆BEST/ネーネーズ
すでにベストアルバムを何枚もリリースしているネーネーズですが、今回は2枚組ということもあって、今まで取り上げられることの少なかった民謡系の曲が沢山入っているのが特徴です。
ディスク1は古くから伝わる沖縄民謡をフューチャーしたもの…、ディスク2はオリジナル曲やカバー曲などのポップ調の曲…、といった構成になっています。1枚のディスクに色々な曲を詰め込むというスタイルではないので、それぞれのディスクに統一感があって、とても聴きやすく感じました。
私はネーネーズのCDをほとんど持っていますが、もしその中から1枚だけを選ぶとしたら多分このCDを選ぶと思います。
必殺必中仕事屋稼業 VOL.6 [DVD]
若い頃、必殺シリーズは「仕掛人」か「新・仕置人」に限ると思い込んでいましたが、本シリーズを“通し”で観てその考えは改めることになりました。
なかでもこのVol.6収録の第二十話「負けて勝負」は、(<監督>松本明×<ゲスト>津川雅彦)という朋友コンビで作る名物話にあたりますが、長い長い必殺シリーズ全体を通しても(たぶん)唯一無比の珍しい話です。ネタバレになってしまうので書くことができないのが残念ですが、タイトルから想像して下さい。
表面上はカカァ天下でなんとなく平和に見える半兵衛とお春さん夫婦ですが、その根底に流れる何とも言えない悲哀感が滲み出ていて、あたしはラストシーンに鳥肌がたちましたねぇ。
性犯罪被害にあうということ
著者の性犯罪被害について、赤裸々に綴られている本。
読んでいて共感できる部分が多くあり、同性として切なかった。
男女の性に対する認識、性犯罪被害者への偏見が根強いことに対して、問題提起もされている。
レイプする側の意識は、欲望を満たす遊び半分で、その行為自体が相手を一生苦しませるなんて、思ってもいないのだろう。
「抵抗しなかったのではなく、できなかった」「叫ばなかったのではなく、叫べなかった」
人は本当の恐怖体験時には、身もすくむし、叫ぶことさえできないと思う。
著者の知人のボクサーの言葉
「犯罪ものみたいなAVを見ると、やってみたいという好奇心を持つ。実際にした事はないが、そういう願望があるのは確か。女はいやなの?そういうの好んで見る女もいるじゃない。」
著者の元カレの言葉
「お前みたいな汚れた女とつき合ってやってんだ。感謝しろ!」
著者と同じく性犯罪被害者の女性が裁判官に言われた言葉
「どうしてそんなに平気でいられるのか?嘘をついているのでは?普通の女性はこんなところに立つことは耐えられないでしょう。」
著者が記した、これらの言葉に集約されるように、男女間の性に対する認識が大きく違い、性犯罪被害者、特にレイプされた女性に対して、強い偏見がある事実が哀しい。
著者が家族にすぐに打ち明けられなかった、母親にさえも話せなかった点は、私には理解できた。
本当に辛いこと、口に出したくもないことは、いくら親でも話せないこともある。
また、「世間に公表などせずに、娘に幸せになってほしかった」という、著者の母の気持ちも理解できる。
兄弟間の心の溝は埋まったようだが、気の毒なのは両親との深い溝。
どうすれば、著者の心の傷が癒せるのか、私にはわからない。
時間が解決するしかないのだろうか。
告発の行方 [DVD]という映画にも、こうしたレイプ事件が扱われていて、J・フォスターがアカデミー賞主演女優賞を獲得している。
性犯罪被害について興味のある方には、一見の価値があると思う。
サウダージ・オキナワ
ネーネーズのベスト版といってもいいでしょう。とってもいい選曲だと思います。いわゆる癒し系を意識したのでしょうね。でも、そんな前頭葉を使わなくても、良いものはイイ、という結論にたどり着きます。夜中に、部屋を暗くして聞いていると、彼女たちの声に身体が包まれる、そんなイメージです。ジャケットのシーサイドレストラン、あそこのサンドとスープ、美味いんだよなぁ・・。